ウイリアムズF1、同じメルセデスPUを使用するレーシングポイントの戦略は「チームには合わない」

 ウイリアムズの副チーム代表を務めるクレア・ウイリアムズは、F1においてチームは独立系マニュファクチャラーであり続けるだろうと語り、メルセデスとの提携によるレーシングポイントの2020年型マシンのようなケースは、ウイリアムズでは“うまくいかない”と主張している。

 レーシングポイントの2020年型マシン『RP20』は、昨年選手権を制覇したメルセデスの『W10』のデザインから直接着想を得ている。レーシングポイントのテクニカルディレクターを務めるアンディ・グリーンは、同じ空力指針と、ほぼ同一のエンジニアリング上のアプローチを採用した。

 RP20は、それがメルセデスのマシンのコピーにすぎないと考えているライバルチームから批判を受けている。しかしグリーンはそうした批判に異議を唱えており、すべてのパーツの設計、製造はレーシングポイントが行ったものだと主張している。

 レーシングポイントのアプローチは、ハースがフェラーリとの提携のもとで採用している特有の技術共有モデルを踏襲してはいない。レーシングポイントはそうしたモデルを厳しく批判してきたのだ。だがチームの“カーボンコピー”コンセプトには、それほど違いがない。

 プレシーズンテストにおけるRP20のパフォーマンスにもとづけば、このアプローチは効率的ではあるものの、ウイリアムズはエンジンサプライヤーであるメルセデスと同様の手法を取る意志はないという。

 『Crash.net』によると、クレアは次のように語っている。

「レギュレーションの範囲内である限り、他のチームがどうレースに臨むか批判するつもりはありません。レギュレーションに沿っていれば、レースのためにどのようにマシンを用意するかは彼らの判断次第です」

「私たちが独立系コンスタラクターであり、自身でマシンを製造していることをとても誇りに思っています。今の時点では、あのようなモデルへの変更は検討していません」

「新レギュレーションへの変更前に、あのモデルが昨年や今年の彼らにとってうまくいっているのなら素晴らしいことです。でもあのやり方は私たちには合わないでしょうし、だからこそ私たちは自分たちの道を進み続けているのです」

■マシン製造は一部を外部委託に。テストにも満足

 F1で3番目に成功を収めたチームであるウイリアムズは、今シーズン壁に対峙している。チームの評価は2年間におよぶ不振によって損なわれており、2019年シーズンにはわずか1ポイントしか獲得できなかったのだ。

 昨年とは異なり、ウイリアムズは新車『FW43』をプレシーズンテストに間に合うように完成させた。2019年型マシンのデビューを完全に台無しにした遅れを避けるために、部分的に製造をアウトソースしたことが功を奏した。

 また、バルセロナ-カタロニア・サーキットでは大きなトラブルに見舞われることなく、建設的な2週間を過ごすことができた。ウイリアムズがようやく低迷を脱し始めることができるという希望とともに、より良い状態でオーストラリアに向かうことは間違いない。

「私は満足しています。誰にとっても驚くことではありませんが、ウイリアムズでは間違いなくあらゆることが前進しています。それはそうするためにこれまで1年以上も厳しいハードワークを行ってきた、チーム全員のおかげです」

「しかし最終的な目標を達成したければ、まだ行うべき多くのハードワークが残っていることを私たちは理解しています。最終目標は表彰台とレースにおいてウイリアムズを望む位置に戻すことですが、現実にはまだ遠い話でしょう」

「今年の目標は、確実な進歩を遂げることです。テストでの6日間で、私たちの達成したことが進歩を表していると思いますが、私たちが実際にどこに位置するのかを知るには、メルボルンへ行かなければならないでしょう」

クレア・ウイリアムズ(ウイリアムズ 副チーム代表)
ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)

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