スペインのバルセロナ-カタロニア・サーキットで行われた2回のテストを終えて、各チームの新型マシンに様々な特徴が見えてきた。今回は2020年F1開幕戦オーストラリアGPに向け各チームの実力を数値化して分析。連載最終回はアルファロメオ・レーシング・オーレン、ハースF1チーム、ロキット・ウイリアムズ・レーシングの3チームだ。
■アルファロメオ・レーシング・オーレン
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■アルファロメオのチーム戦力:100点満点中80点
■テストでの最速タイム:1分16秒942 9番手/全10チーム中(ロバート・クビサ/C5タイヤ/テスト第2回目・初日午前)
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全チーム戦力分析の最終回は、2019年シーズンのコンストラクターズ選手権8位のアルファロメオと9位のハース、そして最下位に終わったウイリアムズの3チームを一気に検証していきたい。
まず、アルファロメオ。昨年の終盤戦から投入しているイカヒレ型スポイラーはC39も踏襲。その後方のノーズ下に吊り下げられているターニングベインの下端に1枚の別フラップが装着され、その前方に切り込みが入れられているのが興味深いアイデアだ。
前身のザウバーが先鞭をつけた、ユニークな3穴形状の鼻孔ノーズは今年も継続。ただし、中央の穴のみ長方形から逆三角形状に変更されている(IMG_2315.JPGの赤矢印)。またフロントウイングの上段のフラップが、昨年は小型と大型の2枚構成だったのが、今年は小型3枚構成に変更され、進化してきている。
今年はリザーブドライバーにロバート・クビサがウイリアムズから移籍してきたことも、マシン作りにはプラスとなるだろう。
■ハースF1チーム
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■ハースのチーム戦力:100点満点中81点
■テストでの最速タイム:1分17秒031 10番手/全10チーム中(ロマン・グロージャン/C4タイヤ/テスト第2回目・最終日午前)
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次にハース。昨年はレースでのタイヤのマネージメントと空力のアップデートに苦しんだ。今年は、昨年の最終戦アブダビGPでロマン・グロージャンのマシンに投入する予定だったが、フリー走行でバルテリ・ボッタス(メルセデス)とクラッシュしてお蔵入りに終わってしまった「へ」の字型のフロントウイングにフラップを変更。
またノーズは昨年までの親指型を踏襲しているが、昨年のシンガポールGPでフェラーリが進化させてきたように、親指ノーズの両サイドに底面を追加。ただし、フェラーリがイカヒレ型のスポイラーも追加してきたのに対して、ハースはイカヒレ型のスポイラーはプレシーズンテストの段階では投入してこなかったのが気になる。
興味深いのはノーズ下に吊り下げられているターニングベインの底面に、サメの歯のような鋭角な小型フィンが増設しているところだ。
■ロキット・ウイリアムズ・レーシング
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■ウイリアムズのチーム戦力:100点満点中78点
■テストでの最速タイム:1分16秒871 7番手/全10チーム中(ジョージ・ラッセル/C5タイヤ/テスト第2回目・最終日午前)
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最後はウイリアムズ。2019年のウイリアムズはコンストラクターズ選手権で2年連続の最下位に終わったが、すでに昨年後半から今年に向けて、空力パーツをどんどん進化させていた。2019年1年間で最もマシンのペースが上がったチームで、今年は中団グループの争いの輪の中に入ってくる可能性は十分考えられる。
今年のウイリアムズの新車『FW43』で最も特徴的なのは、後端がなだらかに後傾しているロールバックダウン型のサイドポンツーン。このほかにも、ウイリアムズはイカヒレ型のスポイラー、ブーメラン型の大型フィン、ハイマウント・サスペンションと、現在のF1のトレンドを積極的に採用している。まとめ方次第では、面白い存在になるかもしれない。