「いざ」に備えて貯蓄はいくら必要?お金で焦らないリスクマネジメント

コロナショックで株価が世界的に下がるニュースを見て、将来の不安が高まっている方も多いのではないでしょうか。

未来のことは誰にもわかりません。ですが、現在の延長線上にあることは確か。毎日の積み重ねが自分の未来をつくっていくことには間違いないので、お金の面でも焦らずに考えていきたいですね。

では、さまざまなリスクに備えるための「貯蓄」はどれくらい必要でしょうか。今回はそんなテーマで確認していきましょう。


「いざというときは、そのとき考える」は危ない

これまで700人以上の人にお金についての直接取材をして、1万件以上のお金のアンケートデータを見てきました。自分に必要な貯蓄について真剣に向き合っている人がいる一方で、「いざというときのことなんて、気持ちが暗くなるだけだから考えたくない」「リスクのことを考えていると消極的になる。いざというときになってから、考えればいい」という人もいました。

確かに、いざというときを心配するあまり、お金を貯めこみすぎて何もできないのは本末転倒。何百万円、何千万円もの貯蓄がありながら「お金が減るのが怖い」と、数十円のお金をケチケチしていたら、人生が楽しくありません。

とはいえ、ある程度の貯蓄があれば、自分を守ってくれるのは事実。貯蓄が後ろ盾となって「何かあっても、これだけお金があるから大丈夫」と、前に進む力をくれるのです。

「いざというときになって、その時に考えればいい」というスタンスだと、平常時はいいのですが、「いざ」の場面で大きなお金が必要になったら、準備が間に合いません。状況はどんどん悪化して身動きが取れなくなり、「あのとき貯めておけばよかった……」と後悔してしまうでしょう。

普段から少しずつお金を貯めておき、リスクに備えられるまとまったお金を準備しておくことで、自由に動けるようになりますし、「いざ」の場面で慌てずに済みます。

ではいったい、どれくらい貯めておけばよいのでしょうか。

まず目指したいのは、手取り半年分以上

まず目指したいのは、手取り半年分です。仕事が続けられなくなったとしても、半年分あれば失業手当をもらえる時期になりますし、転職活動に焦るあまりブラック企業に入ってしまうということも防げます。

手取りが20万円なら、20万円×6=120万円です。

いかがでしょうか。手取り半年分の貯蓄はあるでしょうか。

まだだという方は、ぜひ今日から少しずつ貯めていきましょう。

とはいえ、いきなり100万円以上の大きな金額に気が遠くなるかもしれません。「やっぱり無理だ」と思ってしまわなくて、大丈夫。

毎月1万円でも、コンスタントに貯めていく仕組みをつくればひとまずOKです。

給与振込口座で、自動積立定期預金を設定して「毎月1万円」を、定期預金に振り替えてくれるサービスを利用してみましょう。勤務先に財形貯蓄があれば、すぐに申し込むのがおすすめ。

ひと手間をかければ、あとは何もしなくても自動的に貯まっていきます。月1万円の貯蓄ペースに慣れてきたら、プラス5000円、1万円と、無理のない範囲で増やしてみてください。

今は超低金利なので「銀行に預けても全然増えないから、意味がない」と思うかもしれません。だからこそ、金利の高い預け先を探すよりも、毎月の積立額を増やす方が得策なのです。無駄な出費があれば、それを削って、積立額にまわせるといいですね。

積み立てがお金は、誰かに奪い取られるわけではなく、いつか自分が自由に使えるお金。自分への未来への仕送りだと思って、続けていきましょう。

目の前の仕事に真摯に取り組むことが、リスクマネジメントにもなる

といっても、貯蓄だけがリスクマネジメントではありません。

今働いている人は、目の前の仕事に真摯に取り組むことは、実は大きなリスクマネジメントになります。

先行きが見えない時代。勤務先がこの先何十年間も安泰とは限りません。誰もがうらやむ安定の大手企業でも、他の会社に買収されて、人員整理が行われる可能性もあるでしょう。

そんなとき、今の仕事を一生懸命がんばって、何かしら結果を出していれば、今の勤務先に残っても、新しい場所にいったとしても、身につけてきた力や職場の方々とのつながりは、大きな財産となるでしょう。

私も2005年に会社員を辞めて独立した際、ゼロからスタートしたつもりだったのですが、思わぬところで、会社員時代のつながりに助けられました。

独立当初、ゼロから仕事の売り込みにいったら、「その会社、私の友達が働いていますよ」といって、筆者の会社員時代の仕事ぶりをリサーチした様子。その結果がどうなるかハラハラでしたが、幸運にもよい方に転んで、やりたかった仕事をすることができました。

そういったことが何度もあり、会社員時代、自分なりに一生懸命取り組んでいてよかった、と思ったものでした。

独立しても、転職しても、仕事は一人だけでは完結せず、誰かと一緒にしていくもの。人と人とのつながりは、思った以上にはりめぐらされています。「目の前の仕事に真摯に取り組むこと」は、そんなつながりを活かすことにつながります。もちろん、自分の実力アップにも必ずなりますよね。目の前の仕事に真摯に取り組むこと、ぜひ心にとめておきたいですね。

以上、リスクマネジメントの上での貯蓄や、今の仕事に対する姿勢についてのアドバイスをお届けしました。先行きが見えない時代に突入しましたが、ぜひ今日から少しずつで、できることを一つずつ進めていきましょう!

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