利益35億円投資家・テスタ氏が語る、トレードの「辛さ」と「引き際」

短期トレードで35億円以上の利益を獲得し、現在は中長期トレードにも挑戦中のテスタさん。投資スタイルは変わっても、いまも着実に資産を増やし続けています。前回では勉強方法についてでしたが、今回は今の投資スタイルについて伺います。また、投資をやめるタイミングについても伺ってみました。
※このインタビューは2月16日に行われたものです。


3ヶ月を目安に銘柄を選択

――デイトレと中長期トレードの面白さは違いますか。

トレードは、面白さが大きいほど辛さも大きくなると思っています。その点でいうとデイトレの方が面白さも辛さも大きいと感じます。理由としては、中長期トレードの勝ち負けが地合いの影響を受けやすく、不可抗力の部分があるのに対して、デイトレはそれがほとんどなく、実力がそのまま勝ち負けに表れるからだと思います。

例えば、2019年は後半にかけて相場全体が上がっていったので保有株もその流れに乗って上がっていきました。こういう勝ちは実力で掴んだ勝ちではないので、デイトレのときと比べて勝っている感覚も小さくなります。

一方、中長期トレードならではの面白さもあります。例えば、これくらいの決算が出るだろうと見込んで買った時に、読みが当たったときは面白さを感じますし、いまは色々と勉強している途中なので、外れたとしても面白く感じます。デイトレにはない別の種類の面白さです。

――中長期トレードも中期と長期で時間軸が異なります。どのくらいの時間軸で保有することが多いのですか。

2、3ヶ月くらいの保有が多いので、中長期という括りでいえば短い方だと思います。このくらいの期間を目安としているのは、四半期ごとに決算が出るという理由もありますが、中長期トレードを始めてみて、3ヶ月くらいを1つの区切りとして考える人が多いと感じたためです。簡単にいうと、3ヶ月以内のことは見通しやすいのですが、それ以上長いスパンで考えるのは難しく、ポジションも取りにくいということです。

――どんな点からそう感じたのですか。

例えば、ゲームの新作が1ヶ月延期になっても株価はあまり動きません。しかし、3ヶ月以上先の延期になると大きく下がることが多いのです。つまり、3ヶ月以上は待てないと市場が判断しているということです。

また、半年後に延期になると、一度株価が下がり、発売に近くにつれて再び期待で上がっていきます。その期待買いが入るのも3ヶ月くらい前からが多く5ヶ月、4ヶ月前から買う人はほとんどいません。そういう値動きの変化を見ながら、3ヶ月くらいまで先を見ている人が多いのだなと気づきました。

大きく増やせるのが中長期トレードの魅力

――中長期トレードは買いのみですか。

はい。デイトレでは空売りもしますが、長く持つ場合は構造上、買いしか儲からないと思っています。例えば、株価1,000円の銘柄を1億円分空売りした場合、株価が1円まで下がったとしても利益は1億円です。空売りの利益は2倍が上限で、2倍になるためには空売りした企業が倒産水準までいかなければならないわけです。

一方、買いの場合は株価が無限に上がっていく可能性があります。数ヶ月で2倍になる銘柄はたくさんありますし、そのような銘柄を見つけることで、大きく勝つことができ、資金効率も圧倒的に良くなるのです。

――株価2倍というのも銘柄選びの1つの条件ですか。

そうですね。必ずしも2倍になりそうな銘柄ばかりを買うわけではないのですが、株価が半分になる銘柄を買ってしまったとしても、2倍になる銘柄を同じ分だけ買っていれば資産は増えます。そのようなイメージを持って2倍になりそうかどうか考えることはありますね。

デイトレで2倍になることはほとんどなく、東証一部の大型株も2倍は狙いづらいのですが、僕が見ている時価総額100億円くらいの銘柄は、材料次第で2倍になる可能性が十分にあります。

――株価2倍は魅力的です。初心者でも狙えると思いますか。

もちろん狙えると思います。僕も中長期に関してはまだ始めたばかりです。ただ、資金が少ない場合は2倍になったとしても大きな金額にはなりません。そのため、元本がある程度増えるまでは短期トレードをしながら、資金が大きくなるにつれて時間軸を伸ばしていくのがいいと思います。

勝てなくなる時まで続ける

――デイトレから中長期トレードへと幅を広げてきました。今後についてはどんなふうに考えているのですか。

先のことはわかりませんが、いずれ勝てなくなると思っています。だからこそ、勝っている間は続けますし、勝てなくなったら潔くやめると思います。もっとも避けたいのは、勝てなくなった時に「あの時にもっと稼いでおけば良かった」と思うことです。いまはできることを見つけて全力で取り組んでいるので、やめたとしても現時点では後悔はないです。

――勝てなくなる時のことを考えているとは意外でした。

スポーツ選手と似たようなところがあって、やりたくてもできない時、勝ちたくても勝てなくなる時が来ると思っているんです。僕らの仕事は勝って初めて仕事として成立しますから、勝てなければ無職、通用しなくなれば無職です。中長期トレードに関しても、いまのところは勝っていますが、始めたのが16年からで、なんとかショックと名がつくような大きな下げ相場が来ていません。

いつかはわかりませんが、大きな下げ相場は来るでしょう。その時にいかに傷を浅くするかが大事ですし、良い相場だけでなく、悪い相場も経験し、その結果として残ったお金が本当の実力なのだと思っています。

――通用しなくなったと判断する基準はあるのですか。

資産がピークから4割減ったらやめようと決めています。トレードはマイナスが当たり前にありますので、1、2割減ることはあります。過去に3割減ったことないのですが、それはおそらくデイトレだったからで、地合いの影響を受ける中長期トレードは3割減もあるかもしれません。ただ、そこを超えて4割減になると、自分のトレードが通用していないのだと思います。

ポートフォリオ上でも、何かの間違いで3割減ることはあっても、4割は減らないように計算しています。そう思っているにもかかわらず4割減ったとしたら、自分の考えや計算が通用していないということですので、やめた方がいいだろうと思っているのです。

――逆にいうと、4割減るまでは続けていくということですね。

そうですね。4割減ってやめるということは、ピークの6割のお金が残るということです。ピークを伸ばせばやめた時に残るお金も多くなり、30億なら18億、40億なら24億に増えますので、そこを目指して取り組んでいくつもりです。また、4割減ったらやめようと考えているので、今の資産の額は本当の額だとは思っていません。

いくら持っていたとしても、最終的に残るのは6割ですから、自分の資産の額は手持ちの6割だと思っています。

――ありがとうございました。

※本稿は、2020年2月16日に開催された松井証券主催の株式セミナー「利益35億円トレーダー テスタさんに聞いてみた 相場で勝つためにしている○○のこと」でテスタ氏が講演した内容と、講演前に行った個別取材の内容を再構成して編集したものです。

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