青空入学式

 青空の下、桜並木が見える運動場に並ぶ新1年生たち。新型コロナウイルスの陰鬱(いんうつ)とした雰囲気を和らげてくれるような爽やかな写真が先日、本紙社会面を飾った▲新型コロナは学校現場を直撃している。安倍晋三首相の要請を受け、全国のほとんどの学校は3月初旬から臨時休校。休みといっても部活は中止、遊びに出ることもできず、子どもたちは不自由な生活を送っている▲それでも感染拡大は収まらず、首都圏などでは学校が再開できない状況が続いている。県内でも感染者が相次いだ壱岐市では学校再開が延期された▲掲載した写真は西彼長与町立高田小の入学式。長与町では例年通りの日程で入学式を実施することは決めていたが、どのように開くかで頭を悩ませたという▲通常なら会場は体育館。だが、座席の間隔を広げるなど感染対策をすると、出席者の数が限られてしまう。入学式は一生の思い出。できるだけ多くの人に出席してもらいたい。その思いから校長先生の判断で青空入学式に踏み切ったという▲当日は快晴。長与町の五つの小学校はいずれも運動場で入学式を行った。将来、子どもたちが2020年の春を振り返ったとき、思い出すのは新型コロナによる抑圧された生活ではなく、青空と満開の桜が迎えてくれた入学式のことだろう。(豊)

 


© 株式会社長崎新聞社