「友達と過ごしたい」 臨時登校決めた自治体も 長崎県内休校1週間 

臨時休校で子どもがいない教室。元気な声が再び響くのはいつになるのか=対馬市内の中学校(画像を一部加工しています)

 新型コロナウイルスの感染防止対策で長崎県内でも小中学校や高校などの臨時休校が始まって1週間が過ぎた。感染の終息が見通せない中、西彼長与町教委が3日間の臨時登校を決めるなど独自の対応も出てきた。他の市町では「友達と一緒に過ごしたい」という声も上がっており、各教委は頭を悩ませている。

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 「夏休みのように日課を決めて休校になったわけではないので、子どもがだらだらしている。日中は外で遊ぶこともいけないとされていて、どう過ごさせて良いのか難しい」。長与町の小学2年男児の母親は頭を悩ませる。
 西彼長与町教委はストレスの解消や学習推進などを目的に、小学校は17、18、23日、中学校は18、19、23日の各3日間を臨時登校日に設定。学年ごとに午前、午後に分けて登校させるが、町内や周辺で感染者が出ないことが条件だ。中2の女子生徒の父親は「最初は休校を喜んでいたが、ずっと続くと耐えられるか疑問だった。臨時登校は精神衛生上も良いことだ」と受け止めた。
 壱岐市でも9日、22の小中学校のうち11校が臨時登校を実施。盈科(えいか)小(郷ノ浦町)は児童の体調や自宅学習の状況などを確認。6年生と5年生は卒業式の練習もした。6年の斉藤美乃里さん(11)は「お世話になった先生に手紙を渡したり転校する友達と遊んだり。久しぶりにみんなと会えて楽しかった」と声を弾ませた。
 長崎市教委には、小学6年生と思われる児童から匿名で「友達と一緒に過ごしたい。休校にしないで」という内容のメールが届いた。保護者から「卒業生が別れを惜しむ時間が必要ではないか」という声も寄せられた。担当者は「登校させて感染者が出たとなれば逆効果。判断が難しい」と苦悩する。
 長崎県教委や各市町教委によると、卒業式はすべての公立校が規模を縮小するなどして実施。島原市や東彼川棚町などの中学校は、卒業式前日に準備で生徒が登校。修了式は対馬市が実施せず、西彼時津町と東彼波佐見町は体育館に子どもたちを集めず、各教室で校内放送を聞くという。
 子どもの心の問題はどうか。日本臨床心理士会などによると、感染拡大で「自分や家族も病気になるのでは」と不安を抱き、▽腹痛や頭痛などの症状▽いつもより泣いたり、大人にしがみついて離れない▽赤ちゃん返りをする-などの反応が出ることがあるという。
 スクールカウンセラーを務める長崎大大学院教育学研究科の内野成美准教授(臨床心理学)は「そばにいる大人が行動計画を立てて子どもたちの生活リズムを整え、一緒に体を動かすなど楽しく時間を過ごしてストレスを軽減してあげることが大切」と指摘する。

 


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