【新型コロナ】パン詰め合わせで飲食店支えたい 藤沢のベーカリーが連携 オンラインで予約決済

人気の焼き菓子を手に支援策への思いを語る斉藤さん=藤沢市

 新型コロナウイルス感染拡大で客足の減少に苦しむ飲食店を支援しようと、神奈川県藤沢市内に販売拠点を持つベーカリーがスクラムを組み、各店の逸品を詰め合わせたセットの販売をスタートさせる。密集、密閉、密接の「3密」回避をするため、オンライン上で予約・決済。店舗の一角を引き渡し場所にして売り上げの一部を還元する。緊急事態を乗り越える同業と異業種の連携策として若手が考案した。

 地域密着で奮闘するベーカリーの連携を呼び掛けたのは、1925年に創業した老舗パン店「長後製パン」(同市高倉)の4代目で、同社取締役営業部長の斉藤孝暁さん(29)。

 着想は一斉臨時休校で給食向けパンの売り上げが大きく落ち込んだことがきっかけだ。同社は学校給食向けのパンの製造を請け負う一方、「ロワール光月堂」の看板で店頭販売もしており、3月からコッペパンを一般販売。多くの市民が買い求め連日完売となった。

 「市民の温かさを実感した。自分たちも何か恩返しをしたい」と斉藤さん。相談を受けた藤沢商工会議所専務理事の竹村裕幸さんが「厳しい状況下で同業者と異業種が連携し、助け合うモデルケースになる」と共感し、商議所として周知などの支援を決めた。

 詰め合わせは、賛同した5店からそれぞれ1~3品ずつ日替わりで商品を集め、1セット10品と同社の焼き菓子「ラスク」の詰め合わせを1日50袋限定で予約販売する。価格は2500円(税込み)。オンライン上で22日から予約を受け付ける予定。

 引き渡しは23、24日の各日正午から午後5時まで、藤沢駅北口の藤沢商工会館ミナパーク1階のレストランふじ内で実施。「感染してしまったら意味がないので、接触を限りなく少なくしたい」(斉藤さん)と、3密を避ける販売方法を考えた。

 一方、外出や大人数での会食の自粛要請で来客が激減し、休業や事業縮小を余儀なくされている飲食業の経営を下支えする一助になればと、売り上げの一部を引き渡し場所とする店舗にテナント料として支払うことに。今後、1週間(土・日曜を除く)ごとに市内各所の飲食店で商品の引き渡しを予定している。

 斉藤さんは「コロナ禍で今後の見立てが立てられない業者が多い。ただ終息を待つのではなく、感染を広げないようにしながら、今何ができるのかを考え、ベーカリーと飲食店が共に支え合うスキームに思い至った」と話している。

 詰め合わせセットの予約や決済は、通信販売サイトrebakeで。問い合わせは、長後製パン電話0466(44)0045(平日午前9時~午後5時)。

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