諫早市のコロナ情報提供「遅い」 生活支援策に不満噴出

宮本市長(右)に万全の対応を求める要望書を渡す田川議長=諫早市議会

 「市が何をしているのか分からない」-。諫早市議会全員協議会が21日あり、市の新型コロナウイルス感染抑止策や生活支援策に対する不満が噴出した。いずれも市からの情報不足が背景にあり、危機管理体制を問う声が相次いだ。
 市は▽市報やホームページ(HP)などでの感染症予防策などの広報▽ドライブスルー式PCR検査場の市内設置計画▽市税や国民健康保険料などの納付猶予▽事業所からの融資や経営相談状況-を説明した。
 議員側から不満が集中したのが、市の情報提供方法と開始時期。市内では1日、初の感染者が確認。感染への不安に伴い、飲食店の客足が減少。一方、手洗い励行などを呼び掛ける防災行政無線の開始が14日。議員側は「遅すぎる」「HPを見られない高齢者などにこまやかな対応を」と広報体制の改善を求めた。
 市の場合、独自の保健所がないため、相談や検査の窓口は県央保健所。議員側は「患者が急増したときの医療体制が心配。市と保健所、医療機関、市民が一体となって協議する体制を」と迫ったが、市側は「感染症対策は県の権限」と述べるにとどまった。
 市の対策本部の危機管理意識を問う声も。市側は「情報共有と市の対応統一が目的」と説明するが、議員側は「県の感染症発生状況をメールで転送するだけ。市民生活の困り事を把握した上での対策が一度も出てこない」と批判。このほか、市独自の経済対策や迫る納税時期に対する配慮を求める意見も相次いだ。
 終了後、田川伸隆議長は早急な経済支援を求める要望書を宮本明雄市長に提出。宮本市長は24日、支援策などの概要を公表する考えを示した上で、感染拡大地域との往来自粛などを呼び掛ける市民向けメッセージを発表した。

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