NPT会議延期で共同アピール 平和首長会議会長「グローバルな協調関係を」

 世界約7900都市が加盟する非政府組織(NGO)、平和首長会議の会長を務める松井一実広島市長と、副会長の田上富久長崎市長は27日、同日開幕予定だったが新型コロナウイルスの流行で延期された核拡散防止条約(NPT)再検討会議に関する共同アピールを発表した。国際社会が新型コロナ対策で連携できれば、核兵器や気候変動、貧富の問題でも連携できるとして「世界中の市民が強固でグローバルな協調関係を築かないといけない」と訴えた。
 今年はNPT発効から50年の節目。本来は、NPTの運用状況を点検する5年に1度の再検討会議が米ニューヨークの国連本部で同日開幕し、加盟国や被爆者、各国のNGOなどが参加予定だった。新型コロナの影響で延期が決まり、新たな日程については来年1月が検討されている。
 共同アピールは、コロナ禍を「第2次世界大戦以降、最も過酷な苦難」とし、自国第一主義でなく人道主義の必要性を強調した。
 再検討会議の開催延期については「核兵器のない世界に向けた市民社会の声を届ける機会が失われて残念」とする一方、核保有国と非保有国が対立する中、「準備期間と前向きに捉え」、会議で合意文書がまとまるよう建設的な対話の継続を求めた。
 米国とロシアには、来年2月に期限が切れる新戦略兵器削減条約(新START)の延長を求めた。

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