2カ月ぶりの再開 長崎市内の観光施設 客足回復に期待 感染防止徹底、市民無料開放の施設も

ペンギンを観察する家族連れ=長崎ペンギン水族館

 新型コロナウイルス流行に伴い4月10日から閉鎖していた長崎市内の観光施設が1日、ほぼ一斉に営業を再開した。平日とあって出足はいまひとつだが、市民無料開放の施設もあると知って訪れる人も。施設側も感染防止を徹底しながら、今後の利用回復に期待をつなぐ。
 「ずっと家の中にいて、子どもが動画で見たペンギンを生で見たがっていた。やっとかなった」。宿町の長崎ペンギン水族館に、子ども3人を連れて訪れた大村市の看護師、浜田三矢子さん(39)は再開を歓迎した。
 まだ餌やり時の飼育員解説や、3D映像の大画面シアターなど人が集まるイベント、生き物に触れる展示は休止中。初日の来館者は123人で通常の平日の半分ほどだが、田崎智館長は「子どもの笑い声が久々に響いてうれしい。まだお客さまは窮屈に感じるかもしれないが、安全性を考慮しながら少しずつイベントも再開したい」と話した。
 市は多くの施設で、感染が発生した場合に追跡調査できるよう、来館者らに連絡先の記入を求めた。
 出島町の出島和蘭商館跡は休業中に、業務マニュアルの再整備やバックヤードの整理を進めた。場内レストランの一部メニューを3割引きにして集客を図る。無料と知って訪れた同市の会社員、田川俊(たかし)さん(50)は「じっくり見て学ぶ良い機会になった」。長崎自動車出島運営管理事務所の中村哲所長は「市民県民の皆さんに改めて郷土の価値を感じる時期にしてもらえれば」と期待した。
 南山手町のグラバー園、大浦天主堂の再開に合わせて、近くの土産店の多くも約2カ月ぶりにシャッターを上げたが、観光客の姿はまばら。「長崎オルゴール館」の森一久代表(55)は「すぐには客足は戻らず、辛抱が続くと思うが、久しぶりに営業できてうれしい」。南山手地区観光推進協議会の山下祐之介会長(44)は「多くの店は時短営業だが“日常”が少し戻った」と話した。
 市は9月末まで、市内在住者または市内に通学する児童、生徒、学生を対象に17観光施設を無料化(同水族館や大浦天主堂は有料)。住所を記載した公的身分証明書や生徒手帳など通学先を確認できる書類を窓口で提示する。

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