10万円はいつ届く 佐世保市、給付率70%未満 世帯数の多さ要因 市民から不満の声

特別定額給付金の申請書類の確認や振り込み手続きの作業に追われるスタッフ=佐世保市松浦町

 新型コロナウイルス対策として国民1人当たり10万円が配られる「特別定額給付金」。長崎県内では大半の自治体がほぼ給付を終えたが、世帯数が多い佐世保市では給付率が70%に届いていない。まだ受け取っていない市民からは「取り残された感じ」と不満の声も漏れる。
 佐世保市中心部のビルにある給付金事務局。フロアには市が委託した民間スタッフら約60人が、申請書類の確認や振り込み手続きに追われていた。
 県市町村課によると、19日時点で、全21市町のうち19市町で給付率は90%を超えたが、長崎市は51%、佐世保市は43%にとどまっていた。長崎市はスタッフを50人から段階的に120人に増員。26日時点で98%に達すると見込む。佐世保市も67%まで上昇し、7月上旬にほぼ完了する見通し。
 両市で給付が遅れた要因は世帯数の多さ。申請受け付け準備をしていた4月下旬以降は国の緊急事態宣言で企業活動が制限され、申請書類の印刷作業を担う業者がすぐに確保できなかった。その後は申請の申し込みが集中。佐世保市では一日に最大4万件を受理し、振り込みまでに4週間かかったケースもあったという。「スタートからつまずいたのが痛かった」と関係者。
 両市には、給付金が一向に振り込まれず、しびれを切らした市民から苦情が殺到。担当者からは「国がばたばたと給付を決め、準備する時間もなかった。(佐世保、長崎のような)中核市で早急な対応は困難」と恨み節も。
 県や市町は、「10万円」を当て込んだ地元消費拡大の経済対策を続々と企画。宿泊施設の料金補助や飲食店の利用を促進するクーポン券発行などのキャンペーンを始めた。ただ、まだ給付されていない佐世保市の自営業男性(40)は「当初は地元のために思い切り使おうと考えていたが、いつになっても届かないので気持ちがなえてきた。感染の第2波も怖いので貯金に回すつもり」とぼやく。
 各市町は今後もプレミアム付き商品券の発行などを予定している。同市商工労働課は「地元消費を喚起するため、給付金が行き渡るよう急ピッチで進める」としている。

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