長崎北 バント安打でサヨナラ 「野球は2死から」体現

【1回戦、長崎東―長崎北】10回裏長崎北2死三塁、永山がサヨナラのバント安打を決める=県営ビッグNスタジアム

 0-1で迎えた九回、長崎北の攻撃。2人が凡退し、球場は勝利目前の相手の高揚感で満ちていた。だが、ここから途中出場の大浦が中前打で出塁すると、腰の故障で長く苦しんできた代打野村が左翼線へ適時二塁打を放って同点。一瞬で、がらりと空気が変わった。「野球は2死から」。まさにそれを体現した。
 続く十回も劇的だった。2死三塁で4番永山が初球をバント。冷静に守備位置を確認して「2死」から意表を突いた。相手が見送ったボールは三塁線を転がり、ベースに当たってサヨナラ。近年、ともに存在感を示している公立普通校同士の熱戦に終止符を打った。
 活躍した3年生たちは3年前の夏に強豪海星を倒したチームに憧れて入部した。先輩に負けじときつい練習に耐えてきたが、昨年は夏も秋も実力校に1点差で惜敗。「ようやく呪縛が解けたような感じ。選手に感謝」。普段は厳しい矢ケ部監督も思わず相好を崩した。
 主将の永山は3年前の選手でもある兄に「一つ勝てば気持ちも楽になるから」と送り出された。その言葉通り、この大きな1勝を自信に変えて、2回戦は昨夏準Vの鎮西学院に挑む。リーダーは力強く言い切った。
 「スローガンに掲げているように、次も全員で“耐えて勝つ”」

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