【新型コロナ】県「アラート」発動、でも政府は「GoTo」…どっち?

観客動員再開後初戦で、雨の中懸命に応援する横浜DeNAベイスターズファン=横浜市中区の横浜スタジアム

 新型コロナウイルスの感染者数が基準を上回ったとして県が「神奈川警戒アラート」を発動した17日、県内各地に再び動揺が広がった。政府の観光促進事業「Go To トラベル」の対象地域に神奈川を含めた動きとも重なり、県民や観光事業者からは「何を基準にすれば」「早くルールを」といった声が続出。静なのか、動なのか─。ちぐはぐな対応への戸惑いと、感染拡大への不安が入り交じった。

◆観戦「悩みに悩み」

 「久しぶりに観戦できて、いい日になった」

 9カ月ぶりに観客が戻った横浜スタジアム(横浜市中区)。プロ野球横浜DeNA─巨人の一戦に興じた同市旭区のパート山本千鶴さん(41)は、声を弾ませた。

 小学6年の長女と2人で観戦。声を出しての応援や鳴り物が禁止された中で選手の生の声やボールがミットに収まる音を耳にし、「今までとは違う形で楽しめた」と目を輝かせた。

 5千人を上限に客席を開放したスタジアムは、入場口での消毒や検温など感染防止策を徹底。市中で感染拡大が止まらない現状に不安の声も相次いだ。

 同市金沢区の会社員井関美結さん(25)は、フェースシールドと手袋を装着。母親には自粛を促されたといい、「球場に行くまでの電車が混雑して密だった。やっぱり不安はある」と後ろめたさをにじませた。

 小学生の息子2人を連れた同市磯子区の主婦(40)も「悩みに悩んで」観戦を決断。県の「神奈川警戒アラート」発動を受けて夫に相談し一度は取りやめたが、6年生の長男に「球場に行きたい」と懇願されて足を運んだ。

 「子どもを守りたいけど、願いをかなえてあげたかった」と語り、続けた。「正直、何を基準に行動すればいいかわからない。アラートが出たかと思えば、国は旅行を勧める。自分の身は自分で守るしかないのでしょうか」

◆箱根「客足遠のく」

 県内有数の観光地・箱根町の観光事業者らからは、影響についてさまざまな声が聞かれた。同町強羅で旅館を営む60代の男性は「東京除外」を伝えるニュースを横目に、「都内からのお客さまも増えてきた。キャンペーン時期のキャンセルはほとんど確認できていない」と述べ、現時点では影響は少ないとみる。

 友人と宿泊で町内を訪れていた東京都練馬区の女性会社員(33)は「割引対象でなくても、都民は観光に来るのでは」と話した。

 一方、湯本地区の宿泊事業者は「都内からの観光客は生命線。キャンペーンの利用の有無というより、都内からの自粛につながる」と懸念する声も上がった。

© 株式会社神奈川新聞社