「適切な避難誘導を」 初任科生 普賢岳大火砕流学ぶ

北上木場農業研修所跡周辺で吉本課長(左)から噴火災害の説明を受ける初任科生。後方は平成新山=島原市北上木場町

 長崎県警察学校の初任科短期課程(大卒程度)の53人(男38、女15)は22日、1991年6月3日の雲仙・普賢岳の大火砕流で警察官が殉職した島原市北上木場町の北上木場農業研修所跡周辺などを訪ね、犠牲者を慰霊し災害時の警察活動を学んだ。
 90年11月から96年6月の終息宣言まで約5年半に及んだ普賢岳噴火災害。災害当時を知らない初任科生への伝承教育のため、同校が3年連続で実施した。
 初任科生らは、研修所跡などで生い茂った雑草を除去し、近くの雲仙岳災害記念碑前で代表が献花して全員で43人の犠牲者に黙とう。
 永峯一宏警察学校長は「災害を教訓として、適切適時な避難誘導を行えば被害を最小限にできる。殉職した2人の信念、志を心に刻んで、今後の警察活動に生かしてほしい」と訓示した。
 島原署警備課の吉本直樹課長は噴火当時の状況や溶岩ドーム「平成新山」の現状、2人の警察官が大火砕流に巻き込まれた経緯などを説明。初任科生の大園望夏巡査(22)は「島原で暮らした高校3年間、雲仙岳災害記念館の展示物を見て噴火災害のすごさを実感した。2人の使命感と正義感を見習い、市民の期待に応えられる警察官になりたい」と語った。

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