ヘビーメタルから甘いシンフォニーを奏で、ユルゲン・クロップ監督のリバプールはプレミアリーグ王者に輝いた。過去9試合で1勝しかできずリーグ中位に位置していたチームを引き継いだクロップ監督は、如何にしてチームに急激な進化をもたらしたのか。
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引いて守る相手を崩す手段
クロップはリバプールでの最初の夏に大きな補強をせず、ジョーダン・アイブやクリスティアン・ベンテケらを売却するに留まった。そこからチームに手を加えていったが、現在のリバプールとはかなり違った姿がそこにはあった。両サイドバックのアシスト数はナサニエル・クラインとジェームズ・ミルナーで計5つ。チームトップのジョルジニオ・ヴァイナルダムでさえ9アシストに留まっていた。トランジションを仕掛けるチームは苦しめることができたが、背後にスペースを与えてくれないチームを打破するアイデアに欠けていたのだ。そこでクロップは、夏に一人のエジプト人選手をチームに迎えた。
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サラーを中心にした攻撃システムの構築
リバプールに衝撃を与えたモハメド・サラーを説明するにあたり、最も大きくチームを変えたのがゴール前での決定力だった。クロップ初年度のトップスコアラーはフィリッペ・コウチーニョの14ゴールだったが、サラーはデビューシーズンで公式戦44ゴールを記録。ASローマから移籍金3700万ポンド(約50億円)で加入したサラーが爆発的な成長を遂げ、自ずとエジプト人選手中心の攻撃システムが構築されていった。サラーの能力は、チームに欠けていた何かを与えたのだ。