島原 28年ぶり8強へ 吉田圭 1失点完投、強気の内角球

【3回戦、島原-九州文化学園】自責点0で完投した島原のエース吉田圭。最後の打者を打ち取って雄たけびを上げる=県営ビッグNスタジアム

 2年生左腕が、チームを28年ぶりの8強へ導いた。島原の吉田圭志が強打の九州文化学園を相手に自責点0で完投。中島監督が「冬に一番伸びたから、迷わず与えた」というエースナンバーが、大きな輝きを放った。
 1回戦は出番なく仲間の逆転サヨナラ勝ちを見届けたが、2回戦で7回を零封すると、この日の安定感も抜群だった。特に相手を苦しめ続けたのが右打者への内角球。「自信を持って投げ込める」とバットに当たってもファウルにしかならない絶妙なコースを攻めてカウントを稼ぎ、外角や沈む球もうまく使った。
 今大会が公式戦初登板。昨秋は一卵性双生児で兄の有志が背番号1を背負った。「ライバルで切磋琢磨(せっさたくま)しながら頑張れる」その存在も力に変え、毎月1キロの体重増加を目標に食事も筋トレも手を抜かず「1」番を奪取。「元々細くて」と笑いながらも、身長174センチ、体重69キロの均整の取れた体でしっかり重心移動し、凡打の山を築いた。
 ここまで12打数8安打の宇土ら打線の援護も大きく、八回は自らのバットでも追加点。伸び伸びとした様子でマウンドを守り続け、最後の打者を中飛に仕留めると、力強いガッツポーズとともに雄たけびを上げた。
 私立校に比べると練習時間も少ないが“いつも100パーセントで”と質を求めている県立普通校。次も難敵の長崎南山が控えるが、3年生のため、そして、これからの自分たちのため、ヒーローは「強気で抑えにいく」とまっすぐ前を見据えた。


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