オムロン、ロボットと制御機器を統合制御する「ロボット統合コントローラー」を発売

近年、モノづくりは従来からの人手不足などの課題に加え、新型コロナウィルスの影響により、製造現場でのソーシャルディスタンスの確保や出張などの移動制限、リモートワークなどの新しい働き方の追求を背景に、大きな転換点を迎えている。これにより、生産におけるレジリエンスを高めるための自動化導入や、デジタル技術によるエンジニアリング環境の変革に対する要求が高まっている。しかし、生産設備を構成するロボットとセンサーなどの制御機器は各々別のコントローラーで制御されていたため、各種機器間のスピードやタイミングを連携させた制御が難しく、高度で複雑な作業を自動化することが極めて困難である。また、設備の構築プロセスにおいても、事前に工程設計などを精度高く検証することができず、設備を立ち上げた後、現物での調整が必要であり、後戻りや仕様変更が常態化し膨大な工数が必要だった。オムロン株式会社は、生産設備を構成するロボットと制御機器をOneコントローラーで統合制御する「ロボット統合コントローラー」を発売する。同製品は、PLC、モーション、ロボット制御をOneコントローラーで統合制御することにより、従来は人にしかできなかった微妙な角度や力の入れ具合を探りながら行う挿入や組付けなど繊細で巧みな加工・組立工程を自動化する。また、Oneコントローラーでロボットとステージなどの周辺機構がリアルタイムで完全同期することで、装置性能が向上する。また、今まで異なっていたロボットとマシン制御のプログラミング言語を汎用的なIEC言語に統一し、1つのソフトウェア統合開発環境上で簡単にシミュレーションする技術を確立した。これにより、PLCのエンジニアもロボット制御を設計することが可能となる。さらに、ロボットのみならず、入力機器から出力機器までを含めた3D動作シミュレーションやオフラインティーチングにより、設備立ち上げ前に動作や生産能力を見える化し、工程設計や動作検証の工数を50%削減した。このバーチャル環境下とリアル環境の生産設備を接続することで、リモートでの設備立ち上げ、メンテンナンスが可能となる。加えて、シミュレーション技術により設備設計の初期段階で装置パフォーマンスの検証を可能にし、設備の仕様特定を担うメカ設計者と、設備の制御プログラミングを担う電気設計者が協議しながら並行して設計できるようになる。その結果、設備立上げ時のミスや後戻りを防止し、短期間の立上げを実現する。シミュレーションの実行にはSysmac Studio内のエミュレーションを使用するため、動作確認のための実機接続は不要だ。また、デジタル上でロボット設備の生産能力を把握することができる。

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