福祉、医療機関 対策を強化 県内コロナ感染急増

関係者が施設に入る際は消毒、検温などの感染対策を徹底している福祉施設=宮崎市吉村町の星空の都みやざき

 県内で新型コロナウイルスの感染者が急増する中、障害者支援施設の職員や入所者、病院で給食業務を担う従業員の感染も相次ぎ、重症化リスクが高い利用者がいる福祉、医療機関が緊張を一層高めている。忍び寄るウイルスの脅威に「いつどこで発生してもおかしくない」と関係者。1日に複数回の検温実施や消毒徹底、利用の一部制限など対策を改めて強化している。
 「ここまで感染が広がってくると、福祉、医療機関を含め、どこでも発生しうると気を引き締めている」と語るのは、宮崎市高岡町にある重度心身障害児・者の通所、短期入所施設「T.H.S.RaCoo!」の山元弘道理事長。施設にウイルスを持ち込まないため、利用者の送迎時、自宅と施設でそれぞれ検温するなどしており、「二重、三重の安全対策を徹底するしかない」と力を込める。
 西都市と高鍋、木城町で発達障害児などの通所支援施設を運営するNPO法人「ふぁむ・ふぁーむ」は、県外者と接触した人は2週間利用を控えてもらっており、渡邉ゆきこ代表は「感覚過敏でマスク着用が苦手な子もいて難しさもあるが、職員や保護者と危機感を共有したい」と訴えた。
 精神科などがある小林市の内村病院は7月中旬、独自に設けた警戒レベルを引き上げ、入院患者の外泊や面会、待合室の人数を制限。病院駐車場の車内や電話での診察などを始めた。内村大介院長が懸念するのは、精神障害者や認知症患者らの感染。「じっとしていられない人の場合、感染症指定医療機関では受け入れが困難だろう。その受け皿の確保も進めていかなくてはならない」と述べた。
 高齢者を受け入れる施設も警戒を強める。76人が入居する宮崎市吉村町の特別養護老人ホーム「星空の都みやざき」の浜月均施設長は「重症化しやすい入所者の感染が一番恐ろしい」と強調。7月初旬から家族の面会を中止し、職員には県をまたぐ移動や県外から帰省した家族らとの接触を避けるよう求めている。
 一方、無症状者の感染確認が出ている状況への不安も膨らんでいる。同市内の介護老人保健施設の責任者は「職員に改めて注意喚起したが、無症状の人は防ぎようがない面もある」と強い危機感を口にした。

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