IMSA:マツダは3人、アキュラはふたり。2デイの6時間レースで優先すべきは時間か、体力か

 IMSAウェザーテックスポーツカー選手権は9月5日、ミシュラン・レースウェイ・ロードアトランタで6時間の耐久レースを行なう。このロングレースに対し、最高峰DPiクラスではウェイン・テイラー・レーシング(WTR)とアキュラ・チーム・ペンスキーはレギュラードライバー2名で挑むが、2デイフォーマットで開催されるロードアトランタでは、3人で挑むチームが不利な状況に陥る可能性もある。

 ジョージア州ロードアトランタでの6時間レースは当初、6日日曜の決勝が予定されていたが、暫定タイムスケジュールの発表時に5日土曜へと決勝日が変更されていた。金曜にふたつのプラクティスと予選が行なわれ、土曜に6時間の決勝レースが開催される。

 チャンピオンシップをリードするレンガー・バン・デル・ザンデとライアン・ブリスコーがドライブするWTRの10号車キャデラックDPi-V.Rと2台のアキュラARX-05は、開幕のデイトナ24時間に続いて「ミシュラン・エンデュランス・カップ」タイトルがかけられるロードアトランタに、3人目のドライバーを追加することなく臨む。

 一方、2台のマツダ勢はライアン・ハンター・レイとオリビエ・プラが加わり3人体制を採るほか、アクション・エクスプレス・レーシングの31号車キャデラックにはフェリペ・アルバカーキが、JDCミラー・モータースポーツの5号車キャデラックには、トリスタン・ヴォティエがそれぞれ加わる。

 本来、この日程で予定されていたニューヨーク州ワトキンス・グレンでの6時間レースでは過去にも同様のアプローチが見られたが、今回はロードアトランタでの開催ということで天候の面からドライバーのフィジカルにとって厳しいものになると予想される。

 ただし、今回は2デイイベントとなり、予選までのプラクティスセッションが2時間しかない。このため、WTRのチームオーナーであるウェイン・テイラーは、2ドライバーによるアプローチこそ、進むべき道であると信じている。

「ロードアトランタは暑くなるし、6時間はかなりタフなレースとなるだろう」とテイラー。

「本当にタフなトラックだからね。だけど、ふたりのレギュラードライバーがいれば、ほかの誰かがタイムを上げるための時間をかけずに済む」

「すべてはフレッシュさをキープしつつ、スピードを保てるかにかかっている。限られた時間のプラクティスで確認しなければならないことは多い。そこに新たなドライバーを追加すると、ことはさらに複雑になってしまう」

「我々はやるべき仕事に取り組んでいるよ。この状況下でも自宅でトレーニングを重ねてきているわけだし、フィジカルの面は言い訳として通用しない」

「戦略の面では、(2名体制は)ポジティブだと思う。あまり妥協をする必要がないからね」

ロードアトランタ6時間レースにレギュラーふたりで挑むウェイン・テイラー・レーシングのキャデラックDPi-V.R。

■「多くのセットアップメニューを持ち込むつもり」とライアン・ブリスコー

 ブリスコーは、開幕戦でチームに加わったスコット・ディクソンを、ロードアトランタでのラインアップに戻すことを検討していた、と明らかにした。

「ドライバーが3人いることは、アドバンテージになるかもしれない」とブリスコーは認める。

「実際に僕はスコットを加えることをチームに提案した。プラクティスの時間は限られているから、長所も短所もあると思う」

「3人目を登録すると、マシンに乗る時間を割り振らなければならない。1時間のプラクティスが2回あるけど、そこで赤旗が出てしまう可能性だってある」

「僕たちは、多くのセットアップメニューを持ち込むつもりだ」

「過去数戦で、多くのことを学んだ。いま、僕らのセットアップは以前とは少し違う方向に進んでいるんだ。トラックに戻ったら、評価したいことは山ほどある」

「レギュラーふたりを維持する大きな理由は、その作業に集中することができるからだよ」

「ただ、僕らの身体のケアをどうするか。スティントの間で確実に体力を回復させる方法などについても、レンガーやチームとよく話さないといけないね」

 現在、DPiのチャンピオンシップで6ポイントのリードを獲得している10号車だが、開幕戦のデイトナ24時間以来、勝利からは遠ざかっている。

「もしスコットがドライブするすべてのレースで勝つというのであれば、彼をラインアップに加えたいよね」とバン・デル・ザンデは言う。

「それについては話し合ったけど、今回は2デイイベントで、練習の時間はほとんどない」

「であるならば、次に問題になるのは僕とライアンの体力だ。幸いふたりとも、充分に体力はあると思う。だから僕らは2名体制でいくことにしたんだよ」

 今回のロードアトランタでは2名体制を採るWTRとペンスキーの2台だが、10月に同じトラックで行なわれるモチュール・プチ・ル・マンではそれぞれディクソン、シモン・パジェノー、アレクサンダー・ロッシというサードドライバーが加わる予定となっている。

こちらもレギュラーふたりで臨むファン・パブロ・モントーヤ/デーン・キャメロン組6号車アキュラARX-05。

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