古式大祭 力強く競漕 「舟グロー」復活 対馬・和多都美神社

和多都美神社の古式大祭で6年ぶりに復活した舟グローで競った卯麦地区チーム(左)と、豊玉高チーム。右奥の石材は、台風10号で倒壊した一の鳥居=対馬市、同神社沖

 竜宮伝説で知られる長崎県対馬市豊玉町仁位の和多都美(わたづみ)神社で17日、恒例の古式大祭があり、奉納行事「舟(ふな)グロー」が6年ぶりに復活した。
 同神社は対馬中部の浅茅(あそう)湾最奥部にあり、祭神は日本神話に登場する「彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)」(山幸彦(やまさちひこ))と、海神の娘である「豊玉姫命(とよたまひめのみこと)」。海神が住む海宮(わたつみのみや)が同神社沖にあるとされ、2本の海中鳥居は対馬観光の名所となっている。
 舟グローは和船競漕(きょうそう)のことで、同神社では海からの「神招き」として、奉納行事の初めに氏子集落が和船を沖合から漕いで執り行ってきた。しかし、地域の高齢化や過疎化を受け2015年以降は休止していた。
 今年は地元の県立豊玉高の1年生(26人)が、地域について学ぼうと舟グローを練習。古式大祭では生徒同士の2チームで予選を行い、勝利した方が急きょ出場が決まった氏子集落の一つ「卯麦(うむぎ)地区」チームと対戦した。両チームともに「よいしょ、よいしょ」の掛け声で、先日の台風10号で倒壊した一の鳥居前までの約150メートルを力漕。船首で飾り棒を振り、息を合わせた卯麦地区が優勝した。
 卯麦地区区長で、豊玉高支援会議会長の安田壽和(としかず)さん(63)は「若者の頑張りに地域も触発された。来年以降も続けることができれば」と話していた。

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