【新型コロナ】小児患者家族の滞在施設、きょうだい利用が急増 神奈川県立こども医療センターの院内預かり中断

きょうだい児保育の利用が急増している「リラのいえ」=横浜市南区、昨年8月撮影

 神奈川県立こども医療センター(横浜市南区)の近くにある患者・家族の滞在施設「リラのいえ」(同区・認定NPO法人スマイルオブキッズ運営)で実施する「きょうだい児保育」が奮闘している。同病院でのきょうだい児預かりが中断し、利用者が急増。同施設は「小児患者のきょうだいに寂しい思いをさせないように、居場所を確保したい」と話している。

 同病院内でのきょうだい児の預かり事業は新型コロナウイルス感染症対策のため、2月24日から休止。リラのいえでも4月5日から5月31日まで中断していたが、緊急事態宣言解除を機に、6月から再開した。

 同施設での6月の延べ利用者は前年同月比2.4倍の58人。7月も7月としては、事業を開始した2008年以来最高の75人、8月も69人が利用した。リラのいえの保育士松島より子さん(61)は「『治療の説明を聞くため、短時間でもきょうだいの面倒をみてほしい』と、病児の両親から切実な理由を伝えられることも多い」と話す。

 現在でも同病院内は、きょうだいでも子どもは立ち入りできない状態が続いている。リラのいえでもコロナ対策として同時間での預かり人数を2家族3人以内と限定し、予約時点で断ることもあるという。

 松島さんは「私たちも健康に留意しながら保育に当たっている。居場所がない、きょうだい児のことを理解して、預かってくれる場所がたくさんあればいい」と、支援の広がりを期待する。

 認定NPO法人スマイルオブキッズは病児きょうだいの現状を多くの人に知ってもらおうと、昨年9月に関係者らが一堂に会した研修会を初めて開いた。来年1月にも大学病院できょうだい支援に携わる講師らを迎え、オンラインを活用しシンポジウムを開く予定。

 同法人は「コロナ禍の影響で、病児のきょうだいが我慢することが増えている。そうした悩みや思いに寄り添っていきたい」と話す。問い合わせは、スマイルオブキッズ電話080(7624)4979。

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