平和願う心は一つ 長崎・広島の児童ら「折り鶴」動画内で合唱

色とりどりの鶴を手に「折り鶴」を合唱する長崎市立西北小合唱団の児童ら(同校提供)

 長崎、広島両被爆地の合唱部の児童たちが被爆75年の節目にあわせ、1番が広島、2番は長崎の原爆をテーマにした平和を願う合唱曲、「折り鶴」(梅原司平作詞・作曲)をそれぞれ自分の学校で歌い、収録した動画が一つの映像になった。コロナ禍の中で「広島と長崎を結ぶ合唱の輪」と題した取り組み。両被爆地の児童たちは「広島と長崎、離れていても、心は一つ。平和への思いは同じだから」と話す。
 長崎市立西北小と、広島県の東広島市立川上小の合同企画。川上小合唱クラブの顧問が7月中旬、以前から交流のあった西北小合唱団の顧問に「新型コロナウイルスの影響下でも、被爆75年を機に交流を実現させよう」と同プロジェクトを提案、実現した。
 それまで両校では、コロナ禍で練習ができない日々が続いていた。西北小合唱団6年の笹垣友里さん(11)は「家で一人歌っていたけど、やっぱり寂しかった。みんなと歌いたかった」と、当時の心境を振り返った。
 両校は7月中旬から練習を開始。8月6日の「広島原爆の日」と9日の「長崎原爆の日」に両校の平和祈念集会で映像を流すことを目標に、練習を続けた。
 ただ直接会って練習はできない。西北小児童の提案で、両校の“文通”が始まった。手紙には「映像でつながれてうれしい」「広島と長崎は離れているけど、これからも一緒に平和を祈ろう」-。互いの気持ちを受け止め合いながら、離れた場所での練習を続けた。
 動画は7月末にそれぞれの学校で収録。自分たちで折った色とりどりの折り鶴を手に合唱した。合唱ができる喜びと、平和への思いを込めた歌声-。収録した動画は川上小の教諭がパソコン上で独自に編集し、一つの映像に仕上げた。
 映像上でコラボレーションがかなった児童たち。川上小合唱クラブ6年の綿谷美涼さん(12)は「広島と長崎は原爆の被害を受けた所。心を一つにして、平和の思いを歌に込めることができた」と話した。西北小合唱団6年の山南海さん(12)は「平和を祈る折り鶴を世界中に届ける気持ちで歌った。いつか広島のみなさんと会って、一緒に歌いたい」と期待を込めた。
 両校は今後も合唱を通して交流を続ける。

合唱する東広島市立川上小合唱クラブの児童ら(長崎市立西北小提供)

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