さよなら、名物船長金谷さん 横浜・山下公園「氷川丸」で交代式

船長交代式であいさつする金谷船長(左)と後任の大内船長=日本郵船氷川丸

 横浜市中区の山下公園に係留公開されている「日本郵船氷川丸」で30日、船長交代式が行われ、2003年から第28代船長を務めた金谷範夫さん(70)が退任した。にこやかな表情を終始浮かべた名物船長は家族や日本郵船の関係者らに囲まれ、17年にわたる“キャプテン”生活に別れを告げた。

 氷川丸は、1930年に横浜で竣工(しゅんこう)した大型貨客船で唯一現存する。金谷さんはかねて自らの役割として「船をきれいに保ち、次世代に残すこと」と語り、来館者の案内や船体の維持管理に奔走した。

 交代式では、印象深い出来事として2016年8月に氷川丸が国の重要文化財に指定されたことを挙げた。造船技術や客船の内装を伝える貴重な産業遺産として適切に保存活用されることから「これで氷川丸はずっと残る」と述べ、氷川丸の関係者と喜びを分かち合った当時を振り返った。

 10月1日付で第29代船長に就任する大内孝利さん(68)は「(金谷さんの)退任を一番悲しく思っているのは氷川丸ではないか。金谷船長から受けた指導を今後に生かし、皆さまに愛されるように全力で頑張りたい」と抱負を述べた。

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