WRCイタリア:トヨタ、不利な出走順のなか健闘。マキネン代表「午前中は好調だったが……」

 10月9日、WRC世界ラリー選手権第6戦イタリアのデイ1が地中海に浮かぶサルディニア島で行われ、初日のSS1~6を終えてTOYOTA GAZOO Racing WRTはセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合4番手につけた。僚友のエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)は総合5番手、カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)は総合9番手となっている。

 当初6月に行われる予定だったWRCイタリアは、新型コロナウイルスによるカレンダーの変更によって延期され今季は2012年以来、8年ぶりに10月の開催となった。
 
 コースの表層に細かく滑りやすい砂“ルーズグラベル”が積もった同イベントは、選手権をリードするトヨタ勢にとってはステージの“掃除役”を強いられることになるため、厳しいラリーになることが予想された。
 
 しかし、ランキングトップで今戦を迎えたエバンス、同2番手のオジエは出走順1、2番の不利な状況のなかでも健闘をみせる。
 
 とくにサービスを挟まずにふたつのステージをループした午前のSS3では、エバンスがステージベストを記録。オジエがSS2番手を記録してみせ、午前の4SS終了時点で、オジエが総合3番手、エバンスも総合4番手の好位置につけた。

 しかし、午後のステージではふたたび“掃除役”をすることになり、午前のSSよりもさらにルーズグラベルが多い不利な状況での戦いとなった2台のヤリスWRCはタイムを失うことに。
 
 その結果、1日の最後には順位をひとつずつ落としオジエが総合3番手と0.8秒差の同4番手。エバンスは同5番手で初日を終えている。
 
 シェイクダウンでコースオフを喫しマシンが横転するアクシデントに見舞われたロバンペラは、修理されたクルマでラリー初日に挑むと午前中の4SSを終えた時点で総合6番手につけた。
 
 しかし、午後のステージではステアリングにトラブルを抱えた状態での走行を余儀なくされ、大きくタイムを失うことに。この結果、順位を3つ落とし総合9位で競技初日の走行を終えた。
 
 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジからラリー・イタリア・サルディニアに挑んだ勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)は、SS4でコースオフを喫しデイリタイアとなっている。

 ラリー初日を終え、TOYOTA GAZOO Racing WRTを率いるトミ・マキネン チーム代表は次のように述べた。

「楽な1日ではなかった。午前中は非常に好調で、良い順位につけていた。しかし、最後の2本は出走順が1、2番手の我々のドライバーにとって非常に厳しいステージとなった」

セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) 2020年WRC第6戦イタリア
エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) 2020年WRC第6戦イタリア
カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) 2020年WRC第6戦イタリア

■想像以上に厳しかった午後の掃除役

「競技が始まる前に路面がかなり乾いてしまったのは、大きなハンデになったね。残念なことに、今日は1日をとおして出走順が変わらず、3人のフルタイムドライバー全員が選手権で好調な我々にとっては非常に厳しく不利な状況だった」

「しかし、それはどうにもならないことなので戦い続けるしかない。明日は何台かのクルマがエルフィン(・エバンス)とセブ(セバスチャン・オジエ)よりも前に走るので、状況は良くなると思うよ」

「ただし、カッレ(・ロバンペラ)はより困難なスタート順になってしまう。今日、彼のクルマに何が起きたのかをしっかりと調査するつもりだ」

 総合4番手で初日の走行を終えたオジエは「朝は悪くないループステージだった」とコメント。
 
「しかし、午後は予想していたようにとても厳しく、全力を尽くして走ったがタイムをかなり失ってしまった」

 エバンスも「午後のステージはレッキを行なった時よりも路面がかなり乾いていて、予想以上に滑りやすく苦戦した」と厳しいコンディションとなった午後のステージをふり返っている。

 ラリー・イタリア・サルディニアのデイ2はSS7~12の計6SS、今大会最長の101.69kmで争われる。デイ1と同様に、競技2日目も前半にサービスを挟まずにふたつのSSをループし、午後にさらに2本のSSを走行する変則フォーマットでのスケジュールが組まれている。

セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) 2020年WRC第6戦イタリア
エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) 2020年WRC第6戦イタリア
カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) 2020年WRC第6戦イタリア

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