新聞配達エッセー 「祖母との思い出」 審査員特別賞 廣瀬絢菜さん

 私には亡くなった祖母との思い出がたくさんある。その中でも、新聞配達の思い出が一番印象に残っている。
 私の祖母は昔から新聞配達をしていて、近所の人達からも慕われていて、多くの人は私の祖母が新聞配達をしていることを知っていた。大みそかの夜は、配達する新聞の量が多くなるので、毎年私たち家族も手伝っていた。私は小さかったので母と祖母と一緒にいて、兄たちと二組に分かれて配っていた。多くの人は寝ていたが、祖母と話をするために起きて待っている人もいた。しかし、祖母が体調を崩して配達を他の人に代わってもらうことがあった。その翌日、たくさんの人が祖母のことを心配して家を訪ねてきた。
 そのとき、母が私に「たくさんの人が困っているときに助けるから、みんなからも優しくしてもらえるんだよ」と言った。そのときに、私は優しくて、みんなから頼られ親しまれている祖母のようになりたいと思った。

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