神奈川・三浦半島でSUP事故急増 救助4倍「一歩間違えば大惨事」 冬場は北風に要注意

手軽さから愛好者が増えているSUP(本文とは関係ありません)

◆海保「安全装備を」
 海洋レジャーが盛んな神奈川・三浦半島で、スタンドアップパドルボード(SUP)の事故が急増している。横須賀海上保安部によると、2020年は既に前年の4倍にあたる12人が救助されている。最近でも初心者の家族5人が沖に流され、釣り船に助けられた。同海保は北風が強くなる冬に向け、十分な事前調査と安全対策を取るよう注意を呼び掛けている。

 21日午後2時半ごろ、相模湾沿いの三浦市・和田長浜海岸沖で4艇のSUPに乗っていた計5人が、三浦消防署の依頼で捜索していた2隻の釣り船に次々と救助された。

 同海保によると、5人は横浜市在住の家族で、同日午後1時ごろに同海岸から出艇してSUPで遊んでいたが、風や波の影響で沖に流され、自力では戻れないと父親が判断。防水パックに入れていた携帯電話で110番通報したという。事故当時は北の風約4メートルを観測し、最も遠い艇は同海岸から約2キロ先で漂流していた。

 SUPはボードの上に立ち、パドルをこいで水面を進んでいくスポーツ。初心者でも比較的簡単に始められることから愛好者が増えているといわれる。救助された家族5人もほとんど初心者で、1人はこの日が初体験、他の4人は波の穏やかな湖で一度体験しただけだった。

 同海保が所管する横須賀、逗子、三浦、葉山の3市1町の沖では、今年に入ってSUP愛好者の海難事故が増えている。いずれもボードを操る技術が乏しく、天候の急変や潮流の変化で沖に流されたり、パドルが波に取られたりして自力で戻れなくなったケースという。犠牲者は出ていないが、「一歩間違えば大惨事になりかねない」と警戒する。

 SUPの親しみやすさが事故を誘発しているともいえ、海保職員は「安全に楽しむにはある程度の知識とライフジャケット、携帯電話などの装備が必要」と指摘。「特に北からの風が吹く冬は沖合に流される危険性が増す。ショップの人などの話を聞き、危険だと思ったらやめてほしい」と、アドバイスしている。

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