甲子園まで「あと1勝」

 島の小さな高校の快進撃が止まらない。おととい、長崎、諫早市で開幕した九州地区高校野球大会。西海市の県立大崎高が来春の選抜大会(甲子園)出場が有力となる4強入りへ「あと1勝」に迫った▲西海市の人口は約2万6千人。県内の市としては、松浦、壱岐市の次に少ない。当然のように高齢化も進んでいる。ちなみに西彼時津町の人口は約2万9千人▲大崎高は大島大橋で本土と結ばれる大島町に位置する。全校生徒数は114人。過去に全国で活躍した運動部など存在しない▲この小規模校の野球部が、2年半前の清水央彦監督就任から変わった。県立清峰高、佐世保実高を甲子園に導いてきた指導者は、短期間でチームを大きく成長させた。県内の公式戦は昨年秋から無敗を継続中だ▲行政、地域のバックアップも大きい。ハード、ソフト両面で野球部を支えてきた。部員たちも夏祭りを手伝うなど地元住民と交流。「大崎、また勝ったね」。そんなあいさつが日常にもなってきた▲と、ここまで書けば「21世紀枠で推薦出場も」と考えるのが普通だが、選手たちは意に介していない。甲子園はあくまでも実力でつかみ取る。きょう2日の準々決勝、県内出身者で編成したチームが、地域と学校の歴史に新たな1ページを刻みにいく。(城)

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