棚田包む幻想的な光 長崎・下大中尾「火祭り」 コロナで縮小

規模を縮小して行われた火祭り=長崎市神浦下大中尾町

 日本の棚田百選にも選定された長崎市神浦下大中尾町の大中尾棚田で10月31日夕、恒例の火祭りがあり、日暮れとともに棚田を縁取る明かりが浮かび上がった。
 収穫を終えたこの時期に棚田保全組合が毎年行い、昨年も千人を超える人が訪れた。今年は新型コロナウイルス感染防止の観点からいったんは中止を決定。
 しかし、祭りは耕作者はじめ地元の人の楽しみであり、地域活性化の一つでもあることから「せっかく続いた火を消すのは忍びない」として、対外的な告知はせず、明かりの数を6千から4千に縮小して開催した。
 同組合の松岡信道さん(74)は「天気も良く、できてよかった。これがないと寂しいからね」とほほ笑んだ。日が沈むと、明かりの中に「コロナに負けるな」「人の輪つなぐ棚田の和」の文字が現れた。二胡(にこ)の静かな音色と幻想的な光が辺りを包んだ。

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