九州高校野球準決勝 大崎・乙内翔 粘ってサヨナラ

【準決勝、明豊―大崎】12回裏大崎2死二塁、乙内翔が右翼線にサヨナラ打を放つ=県営ビッグNスタジアム

 第147回九州地区高校野球大会第4日は5日、長崎市の県営ビッグNスタジアムで準決勝2試合が行われ、長崎第1代表の大崎は昨年優勝の明豊(大分)に延長十二回3-2でサヨナラ勝ちした。
 昨年Vの強豪校を前にしても落ち着いていた。快進撃を続ける大崎が、九州制覇へ王手をかけた。延長以降、同点打にサヨナラ打と気を吐いた乙内翔は「自分たちのプレーをすることだけ考えた」と悲願の甲子園出場を決定的とした試合に充実感を漂わせた。
 六回以降、1-1からゼロ行進が続いた。相手3番手左腕の低めの変化球を攻略できずに延長へ突入。十回に勝ち越されたが、ここから2番打者のバットが輝きを放った。
 その裏、2死一、二塁から、外から曲がる2球目を中前へ運んで、まずは土壇場で同点。その後、途中出場した主将の左翼秋山の好捕などもあって勢いづくと、十二回1死一塁から、再びバントで好機を託された。
 チームが11三振を喫した左腕に対して、直球を積極的に狙った。「強気でいけ」というベンチの声も力になった。1球目はファウル。2球目、直球が来た。外角を逆らわずに振り抜くと、打球は右翼線で弾んだ。高校初のサヨナラ打に、高々と拳を突き上げた。仲間たちが駆け寄る勝利の光景は、最高だった。
 12回を完投したエース坂本のためにも「(十三回からの)タイブレーク前に決めたかった」。県大会からの打率を4割8分3厘に上げた自身も、チームもこれで、さらに上昇気流に乗った。
 最後の相手は福岡1位で好投手を擁する福岡大大濠。ヒーローは「次も自分たちの野球をして、全員で勝つ。九州チャンピオンで甲子園に行く」と力強かった。


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