「伝統を未来につなぐ場」新報芸能コンのメセナ優秀賞に祝福の声

 琉球新報社の文化事業「琉球古典芸能コンクール・琉球古典芸能祭」が5日、「メセナアワード2020」の優秀賞に選ばれた。同事業は1966年から、琉球古典芸能の実演家と手を取り合い、共に築き上げてきた。開催当初から関わる実演家も当時を振り返り、快挙を祝った。

 琉球古典音楽の人間国宝に昨年認定された中村一雄さんは「コンクールの新人賞に受かったと、久米島で評判になっていた野村義雄先生に師事し、本格的に歌三線を始めた。コンクール受験を通して、照喜名朝一先生、宮里春行先生など多くの先生方と出会い、導いていただいた」と話した。

 組踊音楽歌三線の人間国宝・西江喜春さんは、第1回コンクールで歌三線の新人賞を受験した。優秀賞、最高賞と合格を重ね、舞踊の受験者のために地謡もするようになった。「コンクールの地謡で喉が鍛えられ、今の高音が出せるようになった。島袋正雄先生をはじめ、他流派の先生と交流する貴重な機会が持てた」と振り返った。

 県芸能関連協議会の玉城節子会長は、第2回コンクールで舞踊・優秀賞の審査員を務めて以来、コンクールに関わってきた。「伝統芸能に携わる若手を育成し、芸能を未来へとつなげる大事な場として使命感を持ち関わってきた。ことしはコロナの影響で延期になったが、実演家も一致団結して(コンクールの)ともしびを消さないよう努めたい」と力を込めた。

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