14歳の少女による発明が優勝! 賞金25,000ドル

 若者たちの科学、技術、エンジニアリング、数学の力を伸ばす「STEM教育」に力を入れているアメリカでは、全米各地でSTEM系のコンテストが開催されている。そんな中、「お母さんのために」と思いついた「死角をなくす」発明が評価された14歳の少女に25,000ドル(約270万円)の賞金が授与された。

運転を嫌がるお母さんを助けてあげたい

 STEM教育の普及を支援するブロードコム財団ソサエティー フォー サイエンス&パブリックによる「2019年 ナショナル・ブロードコム・マスターズ・コンテスト」で、米ペンシルベニア州在住のアラニア・ギャスラーさん(14歳)の発明が優勝し、賞金25,000ドル(約270万円)が授与された。

 ギャスラーさんの発明は、車を運転中の死角をなくすというもの。「ママが家のジープを運転したがらないこと」から、どうすればママのためにSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)にある死角を失くせるかについて考えはじめたという。

SUVには、フロントガラスが潰れないように支える「アルファベットのA」 のような形をした、Aピラー(フロントガラスとドアについたガラス窓の間)があり、普通に座って運転すると、バックミラーやサイドミラーでは確認できないスポットが生まれる。ギャスラーさんは、ウェブカムやプロジェクター、3Dプリント・アダプター、再帰反射繊維などを使って、この死角を作る箇所に映像が映るような仕組みを作り出した。そのギャスラーさんの発明が見られる映像はこちら。

女子生徒も活躍する理数系コンテスト

 「死角ができてしまうAピラーを車から取り外すことはできないので、取り外さなくても見えるようにしたの」と、ギャスラーさん。このフレキシブルな考え方が、新しい発明に繋がったのだろう。

 このコンテストには全米の47州から2,348人の応募があり、30人のファイナリストが選ばれた(少女18人、少年12人)。その中から優勝者のギャスラーさんのほか4人の学生(共に14歳)が様々な発明や研究が評価され、それぞれ1万ドル(約110万円)の賞金を獲得した。また、このコンテストのファイナリストに選ばれた30名の学生たちが所属している各学校へも、さらなるSTEM教育の促進を願って財団から1,000ドル(約10万円)が寄付された。

 がんばった学生たちには、大人顔負けな金額の賞金を授与し、その学生たちをコンテストへ送り出した学校も評価する。STEM教育を広げようとするアメリカらしい推進法だ。

(2019年11月公開記事)

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