「他球団との違いが鮮明」リーグ連覇の巨人から見えた“異質”な2軍起用法とは

巨人・阿部慎之助2軍監督【写真:荒川祐史】

3軍もある巨人は2軍メンバーも固定「1軍昇格に向けてスタンバイしている選手」

【林昌範の目】
新型コロナウイルスで開幕が3か月遅れたプロ野球もいよいよシーズン終盤を迎えています。今年は思いもよらぬ事態で変則的なシーズンになり、選手たちも調整が大変だったと思います。無観客試合が続いたこともあり、以前とは違う環境の中で懸命に戦ってきた姿には感銘を受けました。改めてですが、プロ野球選手に尊敬の念を抱きました。

セ・リーグは巨人の強さが際立っていました。原監督を中心とした首脳陣のマネジメント能力の高さを感じましたね。優勝という目標に向け、1軍だけでなく2軍や3軍でも意思統一して情報を共有できたからこそ、主力をうまく休ませながらシーズンを戦え抜けたのだと思います。途中出場する選手や、2軍から上がってきた選手が良い結果を出したのが象徴的でした。

ファームの試合を見る機会が多かったのですが、巨人は他球団との違いが鮮明でした。ファームは色々な選手に出番を与える為、スタメンや起用する投手は毎試合違うのが一般的なのですが、巨人は他のチームよりも固定のメンバーで戦っていた印象が強かったです。3軍があるという点もありますが、2軍で出場し続ける選手たちは、「1軍昇格に向けてスタンバイしている選手」という首脳陣からの明確なメッセージを感じていたと思います。

自分が組織の中でどのポジションにいるのかが明確になると、「自分に足りないもの」が見つけやすくなります。2軍にいる選手も「心の準備」が出来ていたからこそ、良い成績に結びついたのではないでしょうか。シーズン終盤からファーム調整しているベテランの亀井善行選手、大竹寛選手は日本一になる為に必要なピースだと思うので注目しています。

ロッテは清田、西武は栗山と両ベテランがキーマンと指摘

パ・リーグはクライマックスシリーズの出場権がかかるロッテと西武の2位争いが熾烈です。個人的には最後に抜け出すのはクリーンアップの力だと思います。特に4番打者が打つとチームは一気に勢いに乗ります。ロッテは安田尚憲選手が4番に抜擢されて印象的な一打を打っていましたが、チームが下降線をたどった時期に清田育宏選手が4番に起用され、見事に期待に応えています。清田選手は波が大きい選手ですが、状態の良い時は素晴らしい活躍ができる選手です。彼の活躍がロッテの命運を握っていると思います。

一方、西武は2年連続本塁打王の山川穂高選手が故障で戦線離脱した影響もあり、栗山巧選手が10月下旬から4番で奮闘しています。年を重ねるにつれて調整が難しくなる中、今年もしっかり結果を残しているのはさすがの一言。勝負強い栗山選手にチャンスで回せるかが、勝負のポイントになるのではないでしょうか。文/構成 インプレッション・平尾類

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