神奈川県相模原市中央区の市立清新小学校4年の小俣慶人君(10)が「コロナに負けるな!横浜線」というプラカードを作り、5月からJR横浜線の車両に向かって掲げ続けている。横浜線を応援する思いは運転士や車掌に届き、感謝のメッセージをつづったアルバムが贈られた。活動は半年を迎え、小俣君は「ずっと応援を続けたい」と話している。
小俣君は、地元の交通網を支える横浜線が大好き。母親と一緒に乗車して各地を巡ることを休日の楽しみにしてきた。だが、新型コロナウイルスの感染が拡大した2月ごろから乗車を控えざるを得なくなり、線路沿いで電車を眺める日々が続いた。
コロナ禍は横浜線を直撃した。2月下旬に相模原駅(同市中央区)勤務の社員の感染が発覚。さらに外出自粛要請で、乗客は大幅に減った。
大変な思いをしながら横浜線を運行している人たちを「自分にできる形で応援したい」と思い立ち、プラカードを作って5月10日から横浜線の車両に向けて掲げるようになった。
「応援のプラカードを持つ子どもがいる」。運転士や車掌の間で、小俣君のことはすぐに話題になった。横浜線の運転士で乗務係の金子史寛さん(30)は「応援をうれしく感じ、感動した。心のこもった応援に恩返しをしようと思った」と話す。
すぐに小俣君に連絡を取り、金子さんらの呼び掛けで横浜線の運行に携わる相模原運輸区所属の運転士や車掌ら社員48人が「慶人君のおかげであたたかい気持ちで仕事ができました」「メッセージを見て、がんばろうという気持ちになりました」などのメッセージを寄せた。集まったメッセージと横浜線の写真などを1冊のアルバムにまとめ、8月に小俣君にプレゼントした。
放課後などにプラカードを掲げるだけではなく、周辺のごみ拾いも始めている小俣君。「もらったアルバムは宝物。横浜線の車掌になることが将来の夢」と話し、今後も沿線に立って応援を続けるという。