対馬産品を模擬販売 キャリア教育「船中商店」設立

模擬販売会で教育関係者らに、イスズミを使ったメンチカツや藻塩など対馬特産品を販売する大船越中の生徒=同校体育館

 キャリア教育の一環で模擬株式会社「(株)船中(ふなちゅう)商店」を設立し、地域資源を生かした商品の販売促進に取り組んでいる長崎県対馬市美津島町の市立大船越(おおふなこし)中(東岡貢校長、37人)は10日、教育関係者向けの模擬販売を同校で実施した。磯焼けの一因とされる食害魚イスズミのすり身をふんわりと揚げた「メンチカツ」(1個50円)などが人気で、同日だけで出資総額の4割に当たる4万円余りの売り上げを達成した。
 大船越中は県教委の「ふるさとを活性化するキャリア教育充実事業」研究指定校で、昨年度は個人商店形態の「船中商店」を立ち上げ、磯焼けについて学んだ上で地元事業者が開発したイスズミのメンチカツの販売を地域イベントで試行。
 本年度は株式について学習し、10月中旬の文化祭で地域住民らに出資を募って1株500円で計10万7500円の資本金を確保。これを元手に対馬産の藻塩やジャム、地元の福祉施設で作られた小物なども仕入れ、販売する計画を立てた。
 模擬販売には、島内外の教育関係者約60人が参加。関係者は生徒がすり身を調理する様子を見学した後、体育館に設けられた販売ブースへと足を運んだ。生徒は「対馬の思い出にいかがですか」と客を呼び込み、各商品の特長を看板でアピールするなどして計4万3900円分を売り上げた。
 「船中商店」社長の吉野涼菜さん(15)=3年=は「商品の良さが伝わるよう、看板にイラストを添えるなど工夫を凝らした。出資者にお返しできるよう頑張りたい」とほほ笑んだ。
 同校は今月22日午前10時から、美津島町の商業施設「パル21」で一般向けの販売活動を行う。収支決算は3学期に開催する株主総会で報告し、利益が出れば商品を贈呈し株主に還元する。

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