選手にとって「40人ロースターへの登録」はなぜ重要なのか

メジャーリーグは日本時間11月21日にルール5ドラフトのプロテクト期限を迎え、多くの若手有望株が各球団の40人ロースターに登録された。各球団の目的は「自軍の有望株がルール5ドラフトで他球団へ流出するのを防ぐこと」だが、選手にとって40人ロースターへの登録はそれ以上の大きな意味を持つという。なぜ40人ロースターへの登録がそれほど重要なのか。メジャーリーグ公式サイトのマーク・フェインサンドが解説している。

まず、40人ロースター内の選手は基本的に全員が春季キャンプに招待される。つまり、監督やコーチ、フロント陣の前でプレーする機会を確実に得られるというわけだ。また、ナショナル・リーグのある球団幹部が「40人ロースターへの登録はその選手がチームの構想に入っていることを表す」と話しているように、メジャーでプレーするためには少なくとも40人ロースターに登録されている必要がある。ルール5ドラフトからのプロテクトという目的が第一だとしても、40人ロースターに登録されることは多くの選手にとって最大の夢であるメジャー昇格への第一歩なのだ。

また、アメリカン・リーグのある球団幹部は「40人ロースターに登録されることで多くの給料を得られる」と話す。40人ロースター外のマイナー選手は、マイナーリーグのシーズンが開催される4月から8月までしか給料を得られない。しかし、40人ロースター内の選手はメジャーへ昇格している/していないにかかわらず、9月にも給料を得られるのだ。

ヤンキースの救援左腕ザック・ブリットンは40人ロースターに登録されることについて「経済的に言えば、より多くのサラリーを得ることができるし、メジャーのキャンプに参加して実力を証明するチャンスも得られる。これらが最大のメリットだと思うし、だから選手にとって40人ロースターに登録されることは非常に重要なんだ」と話す。ブリットンは40人ロースターに登録されることが決まったとき、ドラフト指名時よりも興奮し、自分の名前が40人ロースターに掲載されるまで何度も球団の公式ホームページを更新したという。

さらに、40人ロースターに登録された選手は、他球団でプレーする機会を得られる可能性も上昇する。選手を40人ロースターから外す場合、ウエーバーのプロセスを経る必要があり、他の29球団にはその選手を獲得するチャンスがある。ある代理人によると、不動の主力選手によって出場機会をブロックされている選手は特に、ウエーバーで他球団が獲得してくれるのを望んでいるケースが多いようだ。

ただの「仕組み」や「ルール」に過ぎないと思われがちな40人ロースターだが、ブリットンが語るように、その背景には様々なドラマがある。今年も「ルール5ドラフトからのプロテクト」のための動きによって、多くの若手有望株がメジャー昇格への第一歩を踏み出すことになった。

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