不妊治療の保険適用、費用の支援以上に今日本がすべきことは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。11月13日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、株式会社InStyle 代表取締役の鈴鹿久美子さんが“不妊治療の問題点”について述べました。

◆不妊治療の費用を支援する前に必要なことは?

公明党の不妊治療支援に関するプロジェクトチームは、助成金を毎回40万円に引き上げるなど制度の拡充を求める提言をまとめました。また、助成の対象制限についても撤廃を主張。近く政府に申し入れをするとしています。

「携帯料金の値下げ」とともに菅政権の目玉政策とされている「不妊治療の保険適用」ですが、鈴鹿さんは「費用をなんとかするだけでいいのか。健康保険を適用したら問題は解決するのか」と疑問を呈します。

不妊治療には"不妊”と"治療”2つの側面があり、どちらも費用がかかるだけに支援するのは良しとしながら、「費用の面だけでなく、まず大切なのは性の教育」と鈴鹿さんは主張。特に、女性は卵子が年齢とともに受精卵になる可能性が低くなるため、「子どもが欲しいのか、自分の人生をどうしていきたいのか子どもの頃から考える教育が必要」と明言します。

一般的に女性は30歳を過ぎたあたりで、仕事か結婚かという選択を迫られることがありますが、なぜかと言えば出産の問題が絡んでくるため。これに対し鈴鹿さんは、「キャリアを出産で分断していいのか。さらには苗字が変わることが自分にとっていいことなのか迷ってしまう人もいる。そう迷うこと自体がおかしい」と言います。その上で結婚や出産に不自由な日本の現状に危機感を示し、性教育の必要性とともに「制度として推進し、世論を喚起していかなくてはいけない」と提起。

そもそも「結婚も仕事も、子どもも産みたければ産めばいいし、結婚してから出産というのもどうかと思う。そこまで縛りつけてくるから日本は子どもが減っているんじゃないか」と鈴鹿さんは懐疑し、「少子化対策と不妊治療はイコールかもしれないが、その前に制度の問題点をなんとかしないといけない」と警鐘を鳴らします。

◆誰でも子どもが育てられる社会に

不妊治療や少子化については、政府与党・自民党内でもさまざまな声があり、現状を変えたいという方も多いようです。しかし、それが法案としてのぼってくることはなく「制度改革までなかなか辿りつかない」と鈴鹿さん。そして、「子どもが少なくなるということは、この国を支える働き手、納税者がいなくなるということ。子どもを産んで、育てるのは国の仕事」と日本の未来を憂い、制度が柔軟な「フランスを見習うべき」と指摘。

結婚や出産・子育てにはさまざまな形があるのは当然で、鈴鹿さんはその上で重要視すべきは「その人が幸せであること」と言い、「それを他人が疎外することはできないし、国民の幸せを応援するのが国。邪魔をするだけの存在になってはいけない」と危惧。

最後に現状を打破すべく、政治が今必要としていることは「まず現実を見ること」だと鈴鹿さんは言明。今後、確実に子どもを増やさなければいけない場面があると示唆し、「女性には子どもを産んでほしいし、産むためには何が必要か、世論も変えていけなければいけない」と言い、さらには「誰でも子どもが産める、若くして、独身で産み、育ててもいいという認識を持つこと。さらには養子縁組をもっとフラットなものにすること。特別扱いしないほうがいい」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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