船舶入港制限へ改正条例可決 長崎県議会、コロナ対策で

クルーズ船コスタ・アトランチカ(イタリア船籍・8万6千トン)

 定例長崎県議会は8日、総務、文教厚生、環境生活建設、農水経済の4常任委員会が始まった。環境生活建設委(山本由夫委員長)は、新型コロナウイルスの感染リスクなどがある場合に、船舶の入港を制限できることを明記した県港湾管理条例改正案を全会一致で原案可決した。
 今年4月、長崎港停泊中のクルーズ船コスタ・アトランチカで新型コロナの集団感染が発生。県が対応を検証する中で、現行条例では感染拡大のリスクを根拠に入港や接岸を拒否できないなど課題が明らかになり、改正を検討していた。
 改正では、第7章「港湾の利用の制限」を新たに追加した。入港する船舶に対し、知事が感染者情報などの提供を求めることができると明記。船舶の入港により、県民生活の安全が害される恐れがある場合や、県民を著しく不安にさせる場合は港湾の利用を制限できると定めた。
 条例の目的を、県民の安全・安心を確保することと明記。港湾利用者は「適正な利用によって県民の安全・安心を確保するための県の施策に協力しなければならない」と責務も明確化した。県港湾課によると、入港などを制限できる条例は東京、新潟、福岡、沖縄の4都県にあるが、目的に県民の「安心」をうたうのは本県が初めてという。
 18日の最終本会議で可決、来年1月1日から施行する予定。

© 株式会社長崎新聞社