動画で説法、徐々に注目 「いっちゃんのお寺でじぃーん」ネット配信

「いっちゃんのお寺でじぃーん」の動画サイト

 「いっちゃん」の愛称で親しまれ、音楽家や司会者として活動する市原隆靖さん(50)=長崎市出身=が、長崎県内のお坊さんとの対談をインターネット上で動画配信している「いっちゃんのお寺でじぃーん」。2年前に始めた取り組みだが、新型コロナウイルス禍で外出や集会が制限される中、「いつでも、どこでも聞ける説法」として、徐々に注目を集めている。
 2018年4月にサイトを開設。「不安」「幸せ」「他力本願」など、それぞれのお坊さんが設定したテーマに沿って、市原さんと対話する形で進行する。難解な言葉や分かりにくい部分は質問して解説を求めるなど、視聴者の目線を心掛けている。1回10分の動画だが、市原さんは「話が盛り上がって編集に苦労した回も少なくない」と明かす。
 月2回のペースで配信し、これまでに紹介したお坊さんは64人。スタート当初から「煩悩の数と同じ108人に話を聞く」ことを打ち出している。「熱心な仏教徒ではない」という市原さんだが、「108人に会って話を聞けば、私自身も悟りが開けるかな、と思ったのが始まり」と笑う。
 11年の東日本大震災で、お寺が一時避難所となったことを知り、地域のお寺の役割について考えるようになった。お寺でコンサートを開くこともあり、地域住民とお寺、お坊さんをつなぐきっかけにしたい、と動画配信を始めた。
 コロナ禍の影響か、今年に入りチャンネル登録者数が増えたという。繰り返し再生できる動画ならではの強みにも気付かされた。「1回きりではなく、何度も聞くことで、理解にも深みが増す。自分のペースで楽しんでもらいたい」
 順調に進めば、22年9月にも108人に到達する予定。お坊さんによる“数珠つなぎ”のリレーは続く。市原さんは「お坊さんは『心の主治医』になってくれる存在。ぜひ近くのお寺にも直接会いに行ってほしい」と、願っている。

「お坊さんは『心の主治医』になってくれる存在」と語る市原さん=長崎新聞社

© 株式会社長崎新聞社