長崎市の飲食店クラスター 市民に戸惑い「営業怖くなる」「人の流れ止めて」

 長崎市で接待を伴う店でのクラスターと、1日としては同市で過去最多となる12人の感染が確認された。会食の機会や人の移動の増加が見込まれる年末年始を前に、市内の飲食店関係者や市民からは懸念や戸惑い、驚きの声が聞かれた。
 市内でカラオケスナックを経営する女性(67)は「これから忘年会シーズンなのに。今でも夜は静かだが、警戒する人が増えてさらに人出が少なくなるのでは」と不安を隠せない。店では従業員や客の消毒、検温のほか、ドアを開放し空気清浄機を2台設置するなど、感染防止策を取ってきた。「できる限りのことはしている。これ以上、飲食業界での感染が広がると営業するのが怖くなるが、営業しないと暮らしていけない」と切実だ。
 バーを営む60代男性は動画サイトで市の会見を見守った。店名の情報を耳にしているが市は現時点では公表しておらず、「自分が客の立場なら教えてほしいが、経営者としては公開してほしくない。せめて感染対策がどう取られていたのかは知りたい」と複雑な心情を明かした。
 一方、飲食店従業員の男性(24)は1日で12人の感染確認に、「長崎でもまた(感染拡大の波が)来るだろうなとは思っていた」。コロナ禍で医療従事者らへの差別や偏見が社会問題化していることに触れ、「医療従事者がまた白い目で見られてしまうのではないか」と懸念を口にした。
 政府が推進する「Go To トラベル」の一時中止を求める声も。無職男性(60)は「また飲みに行けなくなると思うと寂しい。早く県外の大都市からの人の流れを止めてほしい。(感染が広がれば)飲食店は立ちゆかなくなってしまう」。友人と食事に出掛けていた大学1年生の女性(18)は「一気に増えてびっくり。外食の際は感染症対策をしっかりしている店を選んでいるが、一層気を付けないと」と警戒感を強めた。


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