ふたご座流星群

 春はあけぼの、夏は夜-の彼女、得意の断定口調で〈星はすばる。ひこぼし、ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。尾だになからなしかば、まいて〉と枕草子に書いている。「ゆふづつ」は金星▲「よばひ星」は流れ星で、漢字を当てると「夜這い星」。清少納言が「しっぽなんか無ければもっといいのに」と書いたのは、せっかく「思い人」をこっそりと訪ねていったのに、痕跡が残っていたらバレバレです-と読むらしい。なるほど▲さて、冬の夜空を彩る夜這い星たちの群れ「ふたご座流星群」、今年は、今夜からあすの明け方ごろが出現のピークという。月明かりの影響が少なく、観察条件は良好らしい。すっきり晴れるといい▲流星群の放射点は、三つ星が有名で、初心者や門外漢にも見つけやすいオリオン座の近く。ただ、流星は空全体に現れるため、空の広い範囲をぼんやり見渡すのが発見のコツとか▲と、のんびり星の話を書いていたら、全国の新型コロナ新規感染者がとうとう3千人を超えた-とアナウンスが聞こえてきた。願い事も心配事も多めの2020年の冬▲他の流星群に比べて“当たり外れ”が少ないのが「ふたご座-」の特徴と聞く。大盤振る舞いを期待しておきたい。言わずもがなですが、観察に出掛ける際はしっかり防寒対策を。(智)

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