旧陸軍レシピのビーフシチュー復活へ クラファンで資金

ソースのベースに「フォンブルン」を使用した新しい「陸軍さんのビーフシチュー」

 旧日本陸軍のレシピ集にあるビーフシチューが、根強いファンの要望を受けて復活することになった。よこすか海軍カレーなどを扱う調味商事(横須賀市小川町)が手掛けるレトルトの「陸軍さんのビーフシチュー」は一度は販売が終了したが、クラウドファンディング(CF)で資金を募り、改良を加えて再商品化が決定。同社は「横須賀名物は海軍カレーだけではない」ということをあらためて発信していく考えだ。

 かつては旧日本海軍とともに栄え、戦後は米海軍と海上自衛隊が基地を構える横須賀。ネイビーのイメージが強い一方で「横須賀重砲兵連隊」や「東京湾要塞司令部」など旧陸軍にも縁があり、現在は陸上自衛隊の部隊も駐屯している。

 海軍の「海軍割烹術参考書」に基づくのが「よこすか海軍カレー」だが、陸軍にも「軍隊料理法」という教本があり、その中でビーフシチューを紹介している。同社はこれを基にした商品を2003年から販売してきたが、カレーと比べて知名度が高くなく、売り上げ数も一番売れているカレーの半分以下だったこともあり、18年に製造を終了していた。

 ただ、その後ファンから「すごく好きだったのに」と復活を望む声が複数寄せられ、同社で通信販売などを担当する荒井智保子さん(50)は「カレー以外の商品がなくなってしまうのが惜しい」と、復活プロジェクトを買って出た。

 復活に当たり、牛肉を豪州産から臭みが少ない米国産に変更し、具材にニンジンとマッシュルームを追加。ソースは骨付き牛肉からとったスープ「フォンブルン」をベースとした深い味わいに仕上がり、パッケージもレトロなデザインにした。

 製造のために資金をCFで11月下旬から募ったところわずか3日で目標額の40万円に達し、復活が決定。荒井さんは「塩分を抑え、ワインの風味でうまみが増し、野菜のおいしさも入った。横須賀は陸軍の街でもあるということを広く知ってほしい」と意気込む。

 CFは今月28日まで。来年3月の販売開始を目指している。

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