なぜアクティブファンドを買うの?投資信託はどうやって選べばいいのか

アクティブファンドを買うにしても、どうやって選べばよいのか分からないという人も多いと思います。そこで今回はアクティブファンドのスクリーニング方法を中心に考えてみます。


なぜアクティブファンドを買うのか

アクティブファンドとインデックスファンドのどちらを買ったら良いのでしょうか。これに対する答えは、前編でも言ったように「投資について専門知識を持たない普通の人はインデックスファンドで十分」ということになるのですが、何でもインデックスファンドが良いというわけではありません。

たとえば日本株への投資をインデックスファンドで行うのは、果たして正しいのでしょうか。

インデックスファンドは市場平均と同等のリターンを目指すものなので、長期にわたって市場全体が底上げされ、最高値を更新し続ける環境でないとリターンは期待できません。たとえば米国株式市場を見ると、ニューヨーク・ダウ30種平均は1896年から、S&P500は1957年から算出されていますが、現在に至っても過去最高値を更新し続けています。このようなマーケットであれば、インデックスファンドでも十分なリターンは期待できるでしょう。

でも、日本の株式市場において、日経225平均株価は1989年の3万8,915円という高値にはほど遠いのが現状です。東証株価指数も同様です。

確かに2013年以降、アベノミクスのもとで日本経済の回復期待が高まり、質的・量的金融緩和を受けて株価は大きく上昇してきましたが、この先、日経225平均株価が3万円を回復して最高値を更新できるかどうかは、正直なところ分かりません。そうこうするうちに、加速度的に人口が減少したら、よほど生産性を引き上げるための方策が打ち出されない限り、日本経済は停滞し、株価もそれに倣うでしょう。

つまり日本株に関しては、インデックスファンドで運用しても、過去最高値を更新し続けている米国株のようなリターンが期待しにくいため、徹底したリサーチによって銘柄を選別して組み入れるアクティブファンドの妙味が増すのです。

したがって米国株式や世界株式に投資する分をインデックスファンドにしたうえで、日本株にもある程度、資産配分したい場合はアクティブファンドを選ぶというように、使い分けてみてはいかがでしょうか。

スクリーニングの方法

では、「良いアクティブファンド」を選ぶ方法について考えてみましょう。

私は「投資信託事情」という、投資信託の専門雑誌を定期購読していますが、この雑誌を購入すると、投資信託事情に掲載されている全ファンドのエクセルデータをダウンロードできるので、これをデータベースとして使います。

といってもすべてのファンドのデータを使う必要はありません。あくまでも日本株に投資するアクティブファンドを選ぶだけですから、「国内株式・大型・ブレンド型/割安型/成長型」と「国内株式・中小型・ブレンド型/割安型/成長型」という2つの分類に含まれているファンドのみを対象にします。このうち前者の分類にインデックスファンドが含まれています。

エクセルデータをダウンロードしたら加工していきます。といってもそんなに難しいものではありません。不要なデータをカットしたり、並べ替えたりするだけです。過去5年の成績で比較したいなら、5年の運用成績を持たないファンドはすべて削除します。過去10年で比較するなら、ファンド数は相当程度削除できるでしょう。

削除したら自分の好きな運用期間の成績でランキングをします。エクセルなら「降順」で並べ替えれば簡単にランキングが作れます。

また月末純資産もデータに入っているので、たとえば純資産総額50億円未満のファンドは買わないのであれば、50億円未満のファンドもすべて削除します。
あとは出来上がったランキングのなかで、インデックスファンドのデータだけを色付きにしておくと、インデックスファンドを上回る成績のアクティブファンドがどれなのか、一目瞭然で分かります。

なお、この作業は1ヵ月分だけでなく、複数月で行えればより精度が上がります。毎月でなくとも、たとえば隔月で同じ作業を行って、常に上位にいるファンドがどれなのかをチェックしておくのです。

ちなみにこのスクリーニング方法は、投資信託事情を購入する必要があるので、誰にでも出来るものではないという点は大変申し訳ないのですが、興味がある人は是非、投資信託事情を購入してみて下さい。宣伝をするつもりはありませんが、エクセルデータで全ファンドの運用成績をダウンロードできる、唯一の情報源のはずです。

資金の流出入もチェックする

ここまでやらないにしても、とりあえず自分で購入するアクティブファンドの候補が決まったら、もうひと手間かけて下さい。それは資金の流出入のチェックです。

追加型投資信託は日々、追加設定と解約によって資金の流出入が生じています。継続的に資金が流入し続けているファンドであれば、何も問題はないのですが、資金流出が続いていると、そのファンドは解約資金をつくるためにポートフォリオを取り崩さなければならず、それ運用成績の悪化要因になります。

ちなみに資金の流出入は、モーニングスターのサイトでチェックできます。ファンド名を入れて検索し、個別ファンドのページに行ったら「リターン」→「月次資金流出入学」という流れでタブをクリックしていけば、月次ベースの資金流出入状況のグラフが見られます。資金流出が続いていて、純資産総額が50億円程度まで減っている場合は、候補から外した方が良いでしょう。

もちろん、以上のプロセスを経てアクティブファンドを選んだとしても、必ず高い運用成績が得られるとは限りませんが、大事なことは、ファンドを選ぶに際して自分なりの考え方、基準を作ることです。私の場合は、複数月で常時、インデックスファンドの運用成績を上回っていて、かつ資金が安定的に流入しているものを選ぶのが、ベターな選び方だと思っています。

その意味では、株式の個別銘柄投資に近いのかも知れません。個別銘柄に投資する時、何も選別基準を持たずに銘柄を選ぶと、すべては運任せになってしまい、どこで損切りすれば良いのか、利食いをすれば良いのかが見えなくなります。

ここまでの努力をするのが面倒だという人は、日本株のアクティブファンドを買おうとせず、米国株式や世界株式に分散投資するインデックスファンドを買って持ち続けるのが無難です。

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