「幕末の流行病」など17編収録 佐世保史談会「談林」第61号刊行

佐世保史談会が刊行した「談林」第61号

 佐世保市の郷土史愛好家でつくる佐世保史談会(中島眞澄会長)は、研究機関誌「談林」第61号を刊行した。新型コロナウイルスが社会を覆う中、「幕末の流行病」など15人による17編を収録している。
 会員の研究報告を集め年1回発行。山口敏幸さんは「幕末の流行病」と題し、旗本今福松浦家の「御用留」などをひもときながら、江戸や今福村(現松浦市今福町)でのコレラやはしかの流行についてつづった。
 病原菌の概念すらない時代に、人々が祈祷(きとう)で病魔退散を願ったり、寺院が葬儀に追われたりした様子などを報告。火葬場で棺おけが山積みになった様子を描いた当時の絵を紹介し、現代の新型コロナの感染状況と重ね合わせながら「現在も同様の場面を見ているようだ」と結んでいる。
 副島邦弘さんの「東北陸奥国に渡っていった渡り陶工宇吉の場合」や祖谷敏行さんの「佐世保鎮守府発達考・一」なども掲載している。
 A5判159ページ。問い合わせは同会事務局の廣田さん(電0956.32.4464)。

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