わがまち回顧2020 雲仙支局 自然でさらなる誘客へ

白雲の池キャンプ場でフルコース料理をあじわった「天幕レストラン」=11月29日、雲仙市小浜町雲仙

 「雲仙地獄が閉まるなんて記憶がない」。新型コロナウイルス感染拡大の中で迎えた春の大型連休初日の4月29日。雲仙市の雲仙温泉街の地獄入り口にはロープが張られ、「閉鎖のお知らせ」の張り紙が風に揺らいだ。
 その後も観光客が減り、イベント中止が相次ぐ中、市は策定作業を進めてきた観光戦略を6月末に決定。10年後に「6日間滞在できる雲仙」を目指し、雲仙温泉街では国立公園の自然を生かしたイベント立案を急いだ。
 雲仙地獄にまつわる、ちょっと怖くて摩訶(まか)不思議な昔話を聞きながら夜の地獄を巡る「湯にも地獄の物語」を10月にスタート。11月に開いた「ONSEN(オンセン)ガストロノミーウォーキング」は温泉街周辺を散策し、島原半島産の食を味わう企画で、応募締め切り前に200人の定員が埋まった。
 白雲の池キャンプ場で開いた「雲仙マルシェ」では、かつて外国人避暑客が楽しんだ「天幕レストラン」を再現。雲仙岳を眺めながらフルコース料理を味わうぜいたくなひとときを提供した。
 新型コロナ禍で「3密」を回避しやすい雲仙の自然に、誘客の活路を見いだす一年となった。
 主なニュースは▽公立新小浜病院が診療開始▽市が温泉の源泉調査に着手▽市が人工知能(AI)を活用した乗り合い送迎サービスを実証運行▽金澤秀三郎市長が3選。


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