IIJ、LoRaWAN対応のため池用水位センサーおよび静止画カメラを提供開始

農村インフラとして重要な水利施設であるため池や河川、農業用水路等については、風水害時に水位の迅速な把握が必要だが、同時に、遠隔監視によって人員の安全を確保することが求められる。国や県が管轄する一級河川や二級河川では、国土交通省開発の機器管理型水位計の導入が進められているものの、精度が高い反面高額なため、小さな農業用水路やため池では導入が難しい。さらに、センサーの設置以外に、通信費用やデータを可視化するアプリの費用など、ランニングコストがかさむことも導入の障壁となっている。農林水産省では、2020年12月21日に発表した令和3年度概算決定の概要において農山漁村振興交付金を創設し、人口減少や高齢化が進行する農村地域において、農業水利施設等の農業農村インフラの管理の省力化および高度化等を図るため、情報通信環境の整備による水利施設等のリモート化等による管理の効率化を推進するとしている。株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は、農林水産省が推進しようとしている農業農村における情報通信環境の整備に取り組む市町村等の自治体や土地改良区向けに、ため池や用水路など水利施設の水位を遠隔監視・管理するセンサーおよび目視監視用静止画カメラを開発し、2021年1月5日から提供を開始する。提供を開始するセンサーやカメラは、省電力で電波伝播距離が広範囲な無線技術であるLoRaWANに対応している。LoRaWANの電波は数kmと広範囲に伝播するため、台風や豪雨時に現場に行くことなく、遠隔からスマートフォン等で現場の状況を監視できるという。また、無線基地局に複数のセンサーを接続して地域で共同利用する仕組みも併せて提供するという。これにより、農業農村地域での低コストな通信インフラの構築を支援するとしている。

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