「勇気や希望を伝えたい」 東京五輪カヌーK-4代表 水本圭治

「時間があれば国際大会の動画を見てイメージを膨らませる」と語る水本(チョープロ)

 カヌー・スプリント男子カヤックフォア(K-4)500メートルで東京五輪日本代表の水本圭治(チョープロ)が22日、長崎新聞社など県内の関係各所を訪れ、今季の活動の報告をした。コロナ禍で練習を制限される中、来年夏の大舞台を目指して練習を続けてきた32歳に、自身の現状、本番への意気込みなどを聞いた。

 -2020年を振り返って。
 コロナ禍で普段と違う状況の中、自分ができることをいろいろ探して、自分自身を見詰め直す時間ができた。充実したカヌー生活を送れた気がする。

 -10月は五輪会場の海の森水上競技場で練習を公開。コースの感触は。
 普段の淡水の会場と違い、東京は海水でうねりが多いと言われていた。漕ぎにくさがあると思っていたが、意外と漕ぎやすいコース。風向きも横からじゃなくて、波の立つ方向も一定だった。

 -岩手の母校での講演会や諫早市の本明川でのボート、カヌーイベントも参加した。
 全部初めての経験で貴重な体験ができた。人前でしゃべるのは得意じゃないが、トークショーも挑戦した。ボートとカヌーが一緒にレースをするのは全国的にも珍しく、そういうのも含めていい機会だった。多くの人から頑張ってと言ってもらえて励みになった。

 -メンバー4人が乗る順番に変更はあるか。
 ポジションは変わらない。それぞれが自分の役割を追求している。自分は一番前なので、つぶれたり、ペース配分を間違えたりすると、後ろに響いて艇自体が止まってしまう。1人でも引っ張って漕ぐくらいの気持ちで練習している。

 -仕切り直しの本番まで約7カ月。現在の心境や状態を。
 ずっと心境は変わらず、五輪でメダルを獲得するには、どうすればいいかひたすら考えている。4月から英国に帰国していたコーチが10月に入国可能となり、ようやく直接指導を受けられるようになった。モチベーションが上がってきた。11月から沖縄で合宿をしていて、ベンチプレスの自己ベストは10キロ更新して160キロになった。体力面も技術面も、いい感じになってきた。

 -沖縄合宿で重要視している点は。
 K-4はピッチ数を落として、1パドルで漕ぐ強さを最大限使って艇を進ませる練習をしている。カヤックシングル(K-1)で進める漕ぎの大きさだと、スピードを加えられない。キャッチとかをできるだけ前からして、大きいギアを意識して漕いでいる。コーチからは「とにかくダイナミックに」という指示が出ている。

 -あらためて目標を。
 メダル獲得を目指す。漕いでいる姿をいろんな人に見てもらって、その中で勇気とか希望とか感動を皆さんに伝えたい。

 -そのために本番まで何を詰めていくか。
 今足りない全部のスキルを、日々のトレーニングで一つ一つ上げていけるようにする。一日一日を大事にしたい。瞬発力も心肺機能も同時進行。試合が近づいたら、短距離練習が増えていく。直近は来年3月のアジア選手権(タイ)にK-4で出場予定。今のところK-1(1000メートル)に向けては調整していない。

 -最後に県民へメッセージを。
 応援してくださる方々に感謝の気持ちを伝えられるよう、一生懸命頑張るので、今後とも応援お願いします。

 【略歴】みずもと・けいじ 岩手県出身。不来方高でカヌーを始め、3年時の全国高校総体(インターハイ)で4冠を達成。2010年広州アジア大会スプリントカヤックペア200メートルで金メダルを獲得した。日本選手権は昨年までカヤックシングル500メートルで4連覇、1000メートルで2連覇。12年から長崎県スポーツ専門員を務め、17年からチョープロに所属。176センチ、85キロ。

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