飯伏幸太が同い年内藤と織り成す〝ほかとは違うプロレス〟 1・4は「その答え合わせ」

頂上決戦への思いを明かした飯伏

新日本プロレス1月4日東京ドーム大会でIWGPヘビー級&インターコンチネンタル2冠王者・内藤哲也(38)に挑戦するG1クライマックス覇者・飯伏幸太(38)が、年間最大興行で実現する頂上決戦への特別な思いを明かした。

昨年11月大阪大会でジェイ・ホワイト(28)のダーティーファイトに敗れた飯伏は、G1覇者に与えられる2冠挑戦権利証を失った。しかし内藤からの指名を受け1・4ドームでの挑戦が決定。同戦の勝者が、翌5日大会でジェイの挑戦を受ける。

王者でもG1覇者でもないジェイが最も優位という三角関係だが「指名されたことも最初は複雑でしたよ。本来だったら先にジェイをやりたかった。けど、それができないということは、1・4で勝つことしかない。それに対してはここで終わり」と気持ちを切り替え、1・4の内藤戦に集中している。

ジュニアヘビー級も含めて数々のタイトルを手にしてきた飯伏にとって、業界最高峰のIWGPヘビー級獲得は最後に残された一大目標。

だが「ドームのメインで内藤哲也。ここが重要であって。それと同じくらいベルトも重要ですけど」と、年間最大興行のメインで実現する内藤戦に大きな意義を見いだしている。

2人はともに1982年生まれの同い年。飯伏が「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」に初参戦した2009年から強烈に意識し合い、切磋琢磨してきた。それだけに過去のシングルマッチは全て激しい攻防の連続となっている。雪崩式パイルドライバーやタイガードライバー91のように、内藤が相手でなければ出さないような技も出してきたため、一部では危険な試合とみなされたこともあった。

だがこれはあくまで互いが高い次元で実力で認め合っているからこその領域であり、その根本には信頼に似た感情すらある。飯伏は「ちょっと他の人とやるプロレスじゃないプロレス」と表現する。内藤も飯伏を挑戦者に指名した際の理由として「G1連覇」の実績を挙げる一方、前哨戦では「飯伏とのプロレスはやっぱり楽しい。ワクワクしちまうよ」と発言している。

2人に共通する原点として、幼少期の「プロレスごっこ」の記憶がある。

「同い年なんだから、同じ時期に『ワールドプロレスリング』を絶対見てるわけで。見てきているものが全部一緒。同じ試合にしても、例えば中学生でその試合を見るのと、20歳でその試合を見ているのとは、感覚が違う。でも同い年で見ているわけだから。たぶん感覚が似ているんだろうなと」(飯伏)。

同じ感性で、同じものに憧れ、同じ夢を見た者同士がトップレスラーとなって織り成す「究極系プロレスごっこ」は、回数を重ねるごとに進化している。

飯伏は昨年12月23日後楽園大会で最後の前哨戦を終えたリング上で「俺らのプロレス、1・4でしようぜ。最高の俺らのプロレス、覚えてるよな?」と呼びかけた。

両者の最後のシングルマッチは19年6月の大阪城大会以来、約1年7か月ぶりだが、飯伏が「覚えてるよな?」と聞いたのはその試合のことではない。

「『前回までやってたあのプロレスをやろうよ』じゃなくて。『俺らのプロレス』っていうのは、俺らがプロレスラーになろうと思っていたときの気持ちというか。それを含めてのことです。それをひっくるめたものをまたやろうぜ、と。その形は前回とは違えど。お互い削ったり、取り戻しに行ったりしたものがあって、今度の1・4で答え合わせというか。また新しいものが生まれるんじゃないかと思ってます」。

宿敵でも、好敵手でも、戦友でもない。しかし独特で「いびつ」な関係だからこそ、自身がプロレスにささげてきたすべての時間をぶつけることができる。最高の舞台で最高のプロレスをして、飯伏は最強と最高の2本のベルトを手に入れる。

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