長崎・佐世保・壱岐 3市の医療体制逼迫 中村知事、接触機会減を要請

記者会見で県内の感染状況を説明する中村知事=県庁

 長崎県内で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が続発している事態を受け県は4日、対策本部会議を開き、長崎、佐世保、壱岐3市を中心に感染が拡大し、医療体制が逼迫(ひっぱく)している状況を確認。中村法道知事は臨時の記者会見で、これ以上感染拡大が続けば一般患者への医療に支障が出るとして、人との接触機会を極力減らすよう呼び掛けるとともに、クラスターが多発している医療機関や福祉施設の検査態勢を強化する方針を明らかにした。
 現在、県内の感染状況を5段階で示すステージは「3」(増加・拡大)。3日時点でステージ判断の六つの指標のうち病床占有率など三つは上から2番目の「4」(特定圏域などでの急増)を超えているが、知事は「クラスターがどのように収束するかもう少し見極める必要がある」と説明。「あと一つか二つクラスターが起きれば指標が『4』を大きく超える。改めてステージを判断し営業時間短縮や外出自粛を含め検討する必要がある」と述べた。
 県などは、12月25日~今月3日までの10日間で計241人の感染を公表。うち長崎市132人、佐世保市37人、壱岐市26人で全体の約8割を占める。医療圏別の病床占有率は長崎73%、佐世保県北76%、壱岐65%と逼迫し、感染拡大が止まらなければ入院延期など一般診療への影響が出る可能性があるという。
 初発とみられる65人のうち帰省など県外に起因するケースが33人と約5割を占める一方、感染経路が不明・調査中は3分の1の22人。知事は「ごく身近な所に感染源が存在する可能性がある」と指摘。また濃厚接触者らとして感染した176人のうち病院、福祉施設、バスツアー、飲食、職場のクラスター関連は3分の2の115人に上る。
 知事は、特に長崎、佐世保、壱岐3市の市民や事業者に対し、▽感染リスクを踏まえ外出は慎重に判断▽在宅勤務やオンライン会議の推進▽人が多く集まるイベント開催の再検討-などを要請。クラスター対策として医療機関の救急入院患者や福祉施設の新規入所者に実施している検査について、医療従事者や介護従事者らも含めて対象を拡充することを検討するとした。

県内のステージ判断指標の状況

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