2020年のコロナ相場になぜ乗れなかったのか 失敗の原因は「だろう」投資かも

2020年は新型コロナウイルスに始まり、新型コロナウイルスに終わりました。株式市場で大きな失敗をしたとすれば、3月の暴落時と11月の急騰時となるでしょう。

この局面で多くの人がやってしまいがちだった失敗と、対策を考えてみたいと思います。


2020年の暴落と暴騰

3月の暴落時は年初からの新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されました。しかし、「そのうち終息するだろう」「春になれば終息する」「東京五輪までには終わる」「新型コロナウイルスは風邪のようなもの」など楽観的な見方で買い上がったことの反動で、緊急事態宣言の発出をきっかけに暴落となりました。

前回のコラムで述べたように、本当は「もう感染拡大は止まらないから景気への影響もあるだろう」と考えなければいけなかった局面です。「まだ大丈夫だろう」ということで株を売らなかったことで損失となった人も多かったと思います。

3月の暴落でどう動いたか

そしてさらに3月の暴落の最中に「もういいだろう」といって買った人は損失となり、「まだ下がるだろう」と損失覚悟で売ったところが安値となったということもあったかもしれません。

成功と失敗とは紙一重なので、3月の暴落を見て「これ以上下がらない」と確認してさすがに「もういいだろう」ということで買った人は大成功となったのです。一方で、「もういいだろう」と安値でうまく買えたとしても、すぐに「もういいだろう」と考えて売ってしまった人は、その後の上昇を取りはぐれてしまったことになります。

これもまた、しっかりと高値だと確認してから売れば失敗しなかったということになります。ただ、この失敗は「笑って済ませる失敗」ということですからご愛敬だった思います。

11月の暴騰に乗れなかった

これで新型コロナウイルスの感染拡大が終息したわけでないと悲観的に見ていた人も、この後の上昇に乗れずに失敗をしたことになります。その典型的な例がこの11月の暴騰です。

筆者もここでは新型コロナウイルスの拡大が続いているのだから上がるはずはないと思い、大失敗をしました。ただ、途中からは急騰しても急落しても良いようなポジションに変えていたので、最後は事なきを得ました。

「だろう」で投資をすると失敗をする

今年は結果的には日経平均が29年ぶりの高値という水準まで上昇したわけですから、投資をしていた人は大きな利益になったということになります。ただ、実際には3月の暴落と反発、6月から10月までの保ち合い(もちあい)、そして11月の急騰というように大きな波乱もあり、失敗した人も多かったと思います。

もういいだろうと思っているとまだまだ下がり、まだまだ上がるということが多かったのです。そして、保ち合いの時も「まだまだ保ち合いが続く」と思っていたらいきなり11月になって急騰となりましたし、「もう下がりそうだ」とか「もうそろそろ上に抜けても良いころだ」と思うと、保ち合いが続くというようなことも多かったと思います。

相場は常に行き過ぎる

「もうはまだなり、まだはもうなり」という格言がいまだに使われるように、相場は常に行き過ぎるものです。上昇すればこれでもか、というところまで上昇しますし、下落するともういい加減にしてくれ、というところまで下がることが多くなります。相場の神様がとても意地悪なので、皆が思った方向にはなかなかいってくれないことが多いのです。

ですから、「もう」「まだ」という言葉を使うときに「だろう」を使わないような投資をすればいいと思います。3月の暴落時も暴落が始まったときに「押し目だろう」と考えず、かといって「下落の始まりだろう」とも考えない「下落した」という事実を踏まえ、「ここまで下落したら下落の始まりと考える」ことが大切なのです。

つまり、「だろう」ということではなく「下落する」と行動を決定してしまうのです。そうすれば、「押し目と思って高いところで買ってしまう」という失敗をせずに済みます。むのです。 いったん底値を付けてから戻す過程で「もういいだろう」ではなく「もういいところだ」と決定できるところで買うことが大事です。

上昇したときの失敗

逆に、しっかりと上昇したときでも同じです。少し上がったから慌てて売ってしまい、その後大きく上昇したというケースもあります。まさに今年の11月の急騰時にはそうした失敗も多く見られました。再度買い直せればいいのですが、自分が売った値段よりも高く買い直すというのはなかなかできるものではありません。

ただ、逆に「まだまだ上がるだろう」と考えて持ち続けたところが急落してしまったということもあります。これも「だろう」という漠然とした気持ちで投資の判断をしたからであり、投資の世界では「だろう」ということは禁物です。

根拠と行動を決める

「だろう」をやめて「どうなったら、どうする」というパターンで投資を進めれば大きく間違うことは防げると思います。「だろう」をやめるということは「もう」や「まだ」を排除することではなく、「もう」や「まだ」の根拠をしっかりと決め、その通りに行動することが大切です。

そのためにはいくつかパターン分けして、「どうなったら、どうする」ということを決めておくこと。これが失敗しない、あるいは小さな失敗で済ませると唯一の方法だと思います。

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