五島に県内初 事業組合設立へ 繁忙期に人材派遣 若者や移住者雇用

「特定地域づくり事業協同組合」のイメージ

 長崎県五島市で、地域の若者や移住者を雇い、地元事業者の需要に応じて派遣する「特定地域づくり事業協同組合」の設立に向けた動きが進んでいる。同組合が安定した雇用の場を確保しつつ、繁忙期に観光業や農業などの事業者が働き手を確保できる仕組み。本年度中に県内初の認定を受け、4月から雇用や派遣を始めることを目指す。
 地方での雇用増加や若者定着を目指し、昨年施行した「特定地域づくり事業推進法」に基づく事業。県が認定した組合に対し、運営費の半分を国と同市が助成する。残る2分の1は、人材派遣を受ける事業者が支払う利用料で賄う。
 市内の事業者は季節によって繁忙期とそうでない時期の差が大きいため、年間を通して雇用ができず、人材確保に苦慮していた。そこで同組合が福利厚生を備えた上で若者らを雇用。市内では例えば、夏の観光業や、年末のお歳暮時期を控えた食品製造業、収穫期の農業など、繁忙期を迎えた事業者に派遣することを想定している。
 市内では福江商工会議所などが発起人となり、組合の設立準備を進めている。現在は出資者を募っており、今後の総会で組合の体制などを固める。同商議所は4月以降、当面は派遣先を市内の10~15事業者、雇用する職員は4~5人程度と見込んでおり、1人当たりでは年間に3~4社に派遣されることになる。
 市商工雇用政策課は、同組合による派遣事業について「インターンシップ的な役割もあり、実際に働きながら、どんな仕事か知ることができる仕組み」とする。将来的には各事業所への本格的な就労につながる可能性もあり、地元出身の若者の流出抑制や、移住者の定着率アップにも期待を寄せる。

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